1997 Fiscal Year Annual Research Report
茶-青2色性ガラス等、金コロイドによる特殊呈色ガラスの製造と光学特性
Project/Area Number |
09555280
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
國府 俊則 都城工業高等専門学校, 教授 (70044568)
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Keywords | 茶-青2色性ガラス / 金コロイド / SEM観察 / コロイド形状 / 粒子サイズ / Mie理論 / 吸収・散乱 / 凝集効果 |
Research Abstract |
本研究では、SiO2-Al2O3-B2O3-CaO-MgO-Li2O組成系のガラスに、金を呈色剤として添加して溶融ガラス化したのち、再加熱することにより、ガラス中に金コロイド粒子を生成させ、みかけは茶色で透過光は青色を示す、茶-青2色性ガラスの製造方法とその呈色原理を研究した。(投稿準備中) 茶-青2色性ガラスの最適な原料組成(mol%)は54.0 SiO2-12.5 Al2O3-17.5 B2O3-10.5 CaO-2.0 MgO-3.5 Li2O+0.076mmol Auであり、1400℃で溶融したガラスを750℃〜760℃で1時間加熱することにより製造された。安定な発色をさせるために、金に対して還元作用を示すFe,Snの添加効果を調査したところ、極く微量の添加(0.01g/mol-hlass)は効果的で、均一な2色性の発色を与えたが、添加量が増加すると赤色ガラスとなった。SEM観察により、茶-青2色性ガラス中の金コロイド粒子は直径150〜170nmでオクタヘドロンの形状を有し、粒子どうしが凝集して存在する傾向にあることを確認した.このガラスの減衰スペクトル(吸収スペクトル)を測定し、Mieの理論(コロイド粒子による光の吸収散乱の理論)との重ね合せを行った。Mieの計算では、粒子径が大きくなると、600〜700nmの波長領域の弱い散乱により薄い茶色(濁り)を示すと考えられた。しかし、粒子径が極めて大きい茶-青2色性ガラスでは、スペクトルの形状が計算結果と一致しなかった。 溶液中のコロイド粒子が凝集して存在すると、吸収ピークが長波長側にシフトし、紫または青色を呈することが報告されている。茶-青2色性ガラスでは、直径150〜170nmのコロイド粒子が凝集状態で存在するため、減衰・散乱のピークが長波長側にシフトし特殊な呈色となるものと考えられる。
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