1999 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属反応剤を用いる新型非対称化法を経由した不斉誘導と応用
Project/Area Number |
09555285
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
西山 久雄 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (40135421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長瀬 博 東レ株式会社, 基礎研究所, 副所長
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Keywords | プロスタサイクリン / 非対称化法 / 有機金属 / パラジウム / 不斉合成 / ラジカル還元 / 生理活性物質 |
Research Abstract |
抗血栓性および動脈循環の改善作用のあるプロスタサイクリンの安定化誘導体であるシクロペンタベンゾフラン骨格をめざし,有機金属反応剤と不斉修飾剤の組合せによって,その基本骨格を立体選択的に合成する手法を検討した.1)シクロペンタベンゾフラン環をデールスアルダー反応で短工程で合成する経路を考案し実施したところ4工程で前駆体を効率良く合成することができたが、最終段階の環化反応の進行をみることができなかった. 2)次にプロスタサイクリン上部側鎖の新規短工程合成を草案し試みた.3段階で合成できたので,次に基本骨格であるジアセトキシシクロペンテン化合物のメソ体を利用して不斉選択的な上部側鎖付きのフェノキシ誘導体を導入方法を検討を始めた.光学活性パラジウム触媒を用いてほぼ100%に近い光学収率を達成した. 3)また、非対称な光学活性モノアセトキシシクロペンテンから光学活性でないパラジウム触媒を用いて高収率で、まったく同じ化合物を得ることに成功した.現在、この光学活性前駆体を原料にして、上部側鎖を導入した誘導体でラジカル環化を検討したところ環化生成物を得ることに成功した.これにより、当初の目的を達成することができ、有機金属反応剤による非対称化を経由した有用生理活性物質の合成の方向性が確立したと考えられる.さらに工業的に実施可能な条件へとつなげる予定である.
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[Publications] H.Nishiyama,ら他4名: "Asymmetric induction in intramolecular SN2' reaction"Synlett. 1147-1148 (1997)
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[Publications] H.Nishiyama,ら他5名: "Synthesis of Optically Active Cyclopenta[b] benzofuran as a Precursor of m-phenylenprostacylin"Synlett. 930-932 (1998)
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[Publications] H.Wakita,ら他4名: "Synthesis of 5,6,7-trinor-4.8-inter-m-phenylene PGI_2 and Beraprost"Tetrahedron. 55. 2449-2474 (1999)