1997 Fiscal Year Annual Research Report
生体触媒の人為的制御による新規キラルシントンの効率的調製と光学活性医薬品の開発
Project/Area Number |
09555288
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
酒井 貴志 岡山大学, 工学部, 助教授 (00170556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南井 正好 住友化学工業(株), 有機合成研究所, 主席研究員
依馬 正 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (20263626)
宇高 正徳 岡山大学, 工学部, 教授 (30033153)
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Keywords | リパーゼ / 光学分割 / 不斉合成 / 光学活性 / アジリン / フッ素 / キラル / アルコール |
Research Abstract |
有機合成のための光学活性ビルディングブロックを、加水分解酵素リパーゼを使った光学分割により調製する方法論について、"酵素機能の人為的コントロール"という観点から詳細に検討した。酵素法を用いる光学分割の利点は、目的物が簡便な操作で直截的に得られる点にあるが、その分割の条件決定にはなお試行錯誤を要する。我々は、有機合成的および物性的に興味のもたれる,シクロペンテノール、アジリン、ペンタフルオロフェニル基を有するアルコール体それぞれの光学活性体を得ることを目的として、まず、平成9年度研究計画に沿って、リバーゼを使った光学分割の条件を、1)リパーゼの種類による適性、2)アシル化試薬の効果、3)有機溶媒中の反応の温度効果等、種々検討した。その結果、a)アシル基の構造を変えれば系中で過渡的に生成するアシル一酵素中間体の構造が変化するので、K_mやK_<cat>が変化し、立体選択性が制御出来ること、b)リパーゼ光学分割を有機溶媒中で、-40℃という極低温下で行うことができ、選択性を大幅に改善することが出来ることなどを見出した。また、b)その温度効果によるエナンチオ選択性の向上を物理化学的に予測できることを見出し広く、また広く一般的に利用できることを明らかにした。この様な極低温下の酵素反応は類例が無く、酵素の機能がこの様な低温下で保たれることを初めて実証したものである。以上の光学分割についての条件検討の結果を応用して、多種類の光学活性物質を合成し、機能性有機化合物への応用研究に利用する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Sakai: "Enhancement of the Enantioselectivity in Lipase-Catalyzed Kinetic Resolutions of 2H-Azirine-2-methanol by Lowering the Temperature to-40°C." Journal of Organic Chemistry. 62・15. 4906-4907 (1997)
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[Publications] T.Sakai: "Lipase-Catalyzed Efficient Kinetic Resolution of 3-Hydroxy-3-(pentafluorophenyl)propionitrile and Related Compounds." Tetrahedron Letters. 38・11. 1987-1990 (1997)
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[Publications] J.-N.Cui: "Highly Regio-and Enantioselective Reduction of 1-Chloro-2,4-alkanediones Using Bakers'Yeast : Effects of Organiic Solvents as Additives." Tetrahedron Letters. 38・17. 3021-3024 (1997)
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[Publications] T.Ema: "New Optically Active Diporphyrin Having a Chiral Cyclophane as a Spacer" Chemistry Letters. 487-488 (1997)
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[Publications] T.Ema: "Origin of the Enantioselectivity of Lipases Explained by a Stereo-Sensing Mechaniosm Operative at the Transition State" Bulletin of the Cehmical Society of Japan. 71・2. 443-453 (1998)