温度変化に応答して開閉する貫通ナノポアをもつインテリジェントフィルムの開発

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09555291
• Research Institution: Gunma University
• Principal Investigator: 片貝 良一 群馬大学, 工学部, 教授 (10008500)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 吉田 勝 日本原子力研究所, 主任研究員 ; 小林 京子 群馬大学, 工学部, 教務員 (20225501) ; 久保田 仁 群馬大学, 工学部, 助教授 (20089816)
• Keywords: 温度応答ヒドロゲル / 開閉ナノポア / アミノ酸含有ポリマー / インテリジェントフィルム

Research Abstract

本研究は有機薄膜に任意の孔経をもつナノポアを開け、これに温度応答機能をもつヒドロゲルをグラフト重合により結合させ、温度変化に応答して開閉するナノポアをもつ薄膜を創製するものである。本年度は任意の孔経をもつ有機薄膜の合成研究を計画した。以下にその研究経過の概要を述べる。
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(DEBA)と共重合させるとモノマーとして、(メタ)アクリロイルアミノ酸誘導体の中から、アラニン、プロリン、イソロイシンのメチルエステルを選択し、これらとアリルカーボネートの様々な共重合比(10〜30%)をもつポリマーフィルム(厚さ38μm)を合成した。ナノポアの孔径は、重イオンの大きさ、共重合体の組成、及び蝕刻条件に依存することが基礎研究で判明している。これらポリマーフィルムに日本原子力研究所高崎研究所の重イオン加速機(TIARA)を使用して^<84>Kr^<20+>、^<129>Xe^<23+>の重イオンを照射した。これらフィルムについて、NaOH水溶液を用いた化学蝕刻(エッチング)の厳密な条件検討を行い、任意の穿孔径をもつナノポアの形成が可能な条件を見い出した。また、ナノポア形成に最適なコポリマー組成、重イオン照射条件、及び蝕刻条件をも見出した。得られたポアの孔径は、現有の走査電子顕微鏡により見積もった。コポリマー組成における影響は、アラニン、プロリンでは、そのモノマー組成の増加に伴い、孔径の拡大が見られた。しかし、イソロイシンの場合は、モノマー組成の増加に伴い、孔径の縮小が見られた。これは、DEBAホモポリマーフィルムより孔径が減少するという非常に興味深い結果であった。この結果は、バルクエッチング速度(Vb)に非常によく相関したものとなっている。このことから孔径とVbの相関性を調べることで重イオン照射後のフィルムの孔径をエッチングすることなく推測することが可能になった。

Research Products

• [Publications] M.Yoshida: "Reversible On-off Switch Function of Ion-track Pores for Thermo-responsive Films based on Copolymers Consisting of Diethyleneglycol-bis-allylcarbonate and Acryloyl-L-proline Methyl Ester," Nucl.Instrum.Meth.B,. 122. 39-44 (1997)
• [Publications] H.Omichi: "Application of Ion Beams to Synthesis of Environmentally Responsive Track Membranes," J.Nucl.Mater.248. 354-359 (1997)
• [Publications] M.Yoshida: "Dependency of Volume Phase Transition Temperature of Poly(methacryloyl-L-proline methyl ester)Gel on Hydrophobic Tail Length of Anionic Surfactants," Macromolecules. 30. 2795-2796 (1997)
• [Publications] N.Nagaoka: "Crosslinking,Degradation and Re-Crosslinking of N-Isopropylacrylamide in he Course of Radiation-Induced Polymerization," J.Polym.Sci.,Part A,Polym.Chem.35. 3075-3077 (1997)
• [Publications] M.Negishi: "pH-Sensitive Release of Ketoprofen from Sodium Laurate-loaded Poly(acryloyl-L-proline methyl ester)Gels," Pharm.Sci.3. 129-132 (1997)
• [Publications] M.Yoshida: "Creation of Thermo-Responsive Ion-Track Membranes," Adv.Mater.9. 757-758 (1997)
• [Publications] K.Ogura: "Proton Response of High Sensitivity CR-39 Copolymer," Radiat.Meas.28. 197-200 (1997)
• [Publications] M.Yoshida: "Substrate-specific Functional Membranes Besed on Etched Ion Tracks," Radiat.Meas.28. 799-810 (1997)