1997 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光法を利用したボアホールテレビジョンシステムの開発
Project/Area Number |
09555320
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 孝 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (70026227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陳 友晴 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (80293926)
楠田 啓 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (90169988)
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Keywords | 蛍光法 / ボアホールテレビジョンシステム / 割れ目 / 画像処理 / 紫外線照射装置 / ボーリング調査 |
Research Abstract |
本年度は、まず小型・軽量で強力な紫外線を発生させることのできる照射装置の開発を目指し、室内実験により、野外で採取した岩塊に掘削した孔を利用して、種々の実験を行った。顕微鏡観察用の紫外線ランプ、蛍光灯タイプのものなどいくつか試みた結果、リング状の小型の紫外線ランプを既存のボアホールテレビジョンシステムのゾンデ部分に組み込んだ、小型で強力な紫外線照射装置が作製できた。 次に、ボアホールの壁面に存在する割れ目や間隙を蛍光剤により発光させる方法については、蛍光剤を添加した樹脂を充填、硬化、研磨する方法も検討したが、グラウト剤に蛍光剤を混入したものを岩盤中に注入し、その後、周囲の検査孔で観察する方法を考えた。この方法では、孔壁への蛍光剤の塗布や、余分な樹脂の研磨による除去といった作業が不要で、従来よりすぐれた手法であると考えられる。 上記のような方法で開発したシステムを、建設中のダムサイトでテストを行ったところ、可視光では確認されなかった多数の割れ目が、新たに鮮明に観察された。さらに、これらの割れ目について、より詳細な検討を行うために、ボーリングによって得られたコアの観察を行った。そのため、全自動精密切断機によりコアを注意深く切断し、切断面や側面に蛍光剤を塗布し、顕微鏡を用いた観察を行った。顕微鏡写真の詳細な検討の結果、蛍光法ボアホールテレビジョンシステムで観察された割れ目と、コアで観察された微細なクラックとは良好な一致がみられ、このシステムの妥当性が明らかになった。 なお、このシステムで観察される画像は、割れ目とそれ以外の部分の輝度の差が大きいので、画像処理に適しているものと考えられた。そのため、画像処理用ワークステーションを用いて、フィルター処理、2値化、ノイズ除去などの操作で迅速・簡単に抽出する手法を検討した。その結果、単純な割れ目についてはきわめて有効であることが判明した。しかし、複雑な割れ目については、十分に抽出できてるとはいえず、まだ検討の余地が残されていると考えられた。 次年度は、本年度開発したこのシステムの限界と適用範囲について、さらなる検討を加えていく予定である。
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