1997 Fiscal Year Annual Research Report
イネ胚乳高分子量タンパク質の同定と胚乳中C_4光合成経路関係遺伝子の発現解析
Project/Area Number |
09556001
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
笹原 健夫 山形大学, 農学部, 教授 (20005606)
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Keywords | イネ / 高分子量タンパク質 / 二次電気泳動 / アミノ酸シークエンス |
Research Abstract |
イネ種子胚乳中に主要な貯蔵タンパク質であるグルテリン、プロラミンおよびグロブリンの発育段階ごとの生合成に関する研究は精力的に行なわれてきた。しかし、高分子領域に多数存在するタンパク質の同定およびその生化学的・生理学的特性に関する研究はなお不充分である。 本研究は、イネ種子胚乳を用いて二次元電気泳動およびアミノ酸シークエンスにより、40kDから96kDの高分子領域にある8つのタンパク質スポットを同定した。それらの結果、96kDのタンパク質スポットは、C_4型植物の光合成に関与する酵素ピルビン酸リン酸ジキナーゼ(PPDK)であることが判明した。74kDおよび74kDタンパク質は、熱ショックタンバク質と相同性のあるタンパク質であった。69kD、67kD、57kDタンパク質はそれぞれ、ホスホグリセリン酸ムターゼ、チャペロニンβーサブユニット(CPN-60)、エノラーゼと相同なアミノ酸配列を持つタンパク質であった。その他、54kD、51kD,45kDタンパク質はそれぞれ、D-キシルロースレダクターゼ、UDP-グルコースヒロホスホリラーゼ(UDPG)、リンゴ酸デヒドロゲナーゼと相同性が高い。 一方、イネ種子発育段階中のC_4型光合成に関係する酵素(PPDK)の発現を解析するために、胚乳からタンパク質や全RNAを抽出し、トウモロコシのPPDK抗体やPPDKのcDNAを用いてウエスタンやノーザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、いずれも初期には(10日間開花後)PPDKタンパク質やPPDKに関与するmRNAが量的に多いことが分かった。すなわち、この時期の胚乳はC_4型光合成系が高い活性を有することが示唆された。
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[Publications] G.R.Sadimantara, T.AbE and T.Sasahara: "Genetic Aalysis of High Molecular Weight Proteins in Rice(Oryza sativa L.) Endosperm" Crop Sci.37・4. 1177-1180 (1997)
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[Publications] イグステイ,R.S・阿部利徳・笹原健夫: "イネ種子胚乳におけるエノラーゼの特性と発現" 育種学雑誌. 47(別2). 633 (1997)