1997 Fiscal Year Annual Research Report
高CO_2濃度・温暖化環境に対する水稲とオオムギの生育・収量反応の予測モデルの開発
Project/Area Number |
09556005
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
堀江 武 京都大学, 農学研究科, 教授 (90181528)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 豁 農業環境技術研究所, 環境管理部, 科長
松井 勤 京都大学, 農学研究科, 助手 (70238939)
中川 博視 京都大学, 農学研究科, 助手 (90207738)
大西 政夫 京都大学, 農学研究科, 助手 (80185339)
稲村 達也 京都大学, 農学研究科, 助教授 (00263129)
|
Keywords | 水稲 / オオムギ / 二酸化炭素 / 温度 / 生育 / 収量・ / 温暖化 / 予測モデル |
Research Abstract |
1.高CO_2温暖化環境に対する水稲の生育・収量反応の予測モデル 過去7年間にわたって行われた温度傾斜型CO_2濃度制御温室(TGC)での水稲栽培データを解析し、次のことを明らかにした。すなわち、現在の気温条件下でCO_2濃度倍増した場合、水稲の光合成速度は顕著に高まるものの葉面積の拡大生長はほとんど促進されないため、水稲の生長の増加は最大で約30%であり、収量の増加もそれと同程度である。気温の上昇につれて、このCO_2濃度上昇による増収効果は減少し、開花期の平均最高気温が36℃を上回ると、収量は現行よりも低下する。これは開花期の高温によって約の不裂開が起こり、受精が阻害されて不稔が発生するためである。TGC装置で得られた、このような実験データをパラメタライズして、水稲の生育予測モデルに組み込むことにより、高CO_2・温暖下で各地域の水稲の生育・収量をシュミレートするモデルを開発した。 2.高CO_2温暖化環境に対するオオムギの生育・収量反応 TGC装置内に二条オオムギを栽培し、高CO_2・温暖化環境に対する生育、収量反応データを収集した。稲とは異なり、高CO_2濃度による生長の促進効果は気温が高まるにつれて大きくなる傾向にあった。すなわち現在の気温のもとではCO_2濃度倍増による生長促進はみられないが、現在より2〜3℃高温下ではそれが約20%促進され、収量も高まることがわかった。CO_2濃度倍増によって穎花数はほとんど影響されないものの、1粒量が増大し、増収することが明らかになった。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Horie,T.: "Effects of elevated carbon dioxide and climate change on rice production in East and South East Asia" Proc.of Internat. Scientific Symposium on Asian Paddy Field. 49-58 (1997)
-
[Publications] Horie,T.: "Physiological characteristics of high-yielding rice inferred from cross-location experiments" Field Crops Research. 52. 399-425 (1997)
-
[Publications] Nakagawa,H.: "Rice responses to elevated CO_2 concentration and high temperature" J.Agric.Meterol. 52. 797-800 (1997)
-
[Publications] Matsui,T.: "High temperature induced spikelet sterility of Japonica rice at flowering in relation to temperature and humidity" Jpn.J.Crop Sci.66. 449-455 (1997)
-
[Publications] Matui,T: "Effects of high temperature and CO_2 concentration on spikelet sterilits in indica rice" Field Crops Res.51. 213-219 (1997)
-
[Publications] Matthews,R.B: "Simulating the impact of climate change on rice production in Asia and evaluating options for adaptation" Agricultural Systems. 54. 399-425 (1997)
-
[Publications] 堀江武: "農学・生態学のための気象環境学(文字信貴ら編)" 丸善出版, 199 (1997)
-
[Publications] 中川博視: "土壌圏と地球環境問題(木村眞人編)" 名古屋大学出版会, 277 (1997)