1999 Fiscal Year Annual Research Report
GCプロフィールによるコナダニ類の化学分類・同定法の確立
Project/Area Number |
09556010
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
桑原 保正 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (10026536)
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Keywords | 無気門亜目 / コナダニ / 化学分類 |
Research Abstract |
無気門亜目のダニ類には後胴体部腺が共通して存在する。この分泌物が種特有のプロフィールを示すと考え、全部で9科51種のダニを新規に考察した寒天培地および乾燥酵母を主体とした飼料で継代飼育し、雌、雄及びヒポプスのGCプロフィールをキャピラリー・カラムを用いたガスクロ・質量分析計により高感度分析(スプリット・レス注入、60℃〜290℃,10℃/min昇温条件)した。一方、種が異なれば染色体DNAのITS-II領域の塩基配列が異なると考え、PCR法で増幅して塩基配列を決定し、それに基づいて分子系統樹を作製した。 その結果、ヒポプスと成虫それぞれのプロフィール、特に炭化水素組成が顕著に異り、増殖型ではトリデカンを主成分とする種がヒポプスに変態すると、ヘプタデカン及びそのモノエンとジエンが主成分の炭化水素組成に変化することを一般的に認めた。特定成分が雄と比較して雌に極端に多い例もあり、ロビンネダニやミズコナダニ属でそれらは雌性フェロモンと同定でた。GCプロフィールは種毎に異なる事、同様にITS-II領域の塩基配列も種毎に異なることが、一般的に認識できた。GCプロフィールは概略同じであるが、ITS-II領域の塩基配列が僅かに異なる例が数件あり、塩基配列の個体内及び個体間の変異なのかあるいは種が異なるためか、生物学的な検討を必要とする例も散見された。コナダニに含まれる新規のモノテルペン3種類や芳香族化合物2種類の化学構造をGC/MS及びGC/FT-IRの分析結果をもとに合成的手法で同定した。
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[Publications] 桑原保正 他2名: "Identification of the New Hydrocarbonol Z, Z)-1.6.9-Heptadecatriene as the Secretory Component of Caloglyphus polyphyllae (Astigmata: Acaridae)"Bioscience, Biotechnalogy and Biohemistry. 63. 1478-1480 (1999)
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[Publications] 桑原保正: "Chemical Ecology of Astigmalid Mites LV.Comparative studies of Moles Abilities to discriminate both Sexes in Caloglyphus spp"Journal of Chemical Ecology. (発表予定). (2000)
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[Publications] 桑原保正: "コナダニ類の化学生態学"環境昆虫学-行動・生理・化学生態学"東京大学出版会. (1999)