1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09556012
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Research Institution | Heian Jogakuin (St. Agnes') College |
Principal Investigator |
伊藤 啓 平安女学院短期大学, 生活学科, 教授 (20213077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 利勝 株式会社京ヤ, 無菌養蚕システム研究所, 所長
森 肇 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (80201812)
片山 健一 平安女学院短期大学, 生活学科, 教授 (60027068)
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Keywords | 人工飼料育蚕糸 / フブロイン / セリシン / 加工プロセス / 力学特性 / 染色特性 |
Research Abstract |
本研究では、人工飼料で飼育した蚕が産生する繭糸から高品質の絹製品を得るための新しい加工プロセス技術を開発することを目的とする。平成9年度には、新しい加工プロセス開発のための基礎的知見の集積を目的として検討し以下の成果を得た。人工飼料組成の異なる幾つかの繭試料について、人工飼料育繭糸の化学組成、構造及び諸物性を検討し、オカラを主成分とする人工飼料で飼育したときの蚕糸の白度が最も高く黄変度も小さいことを確認したので、この飼料で育成した蚕糸について検討を加えた。人工飼料育の蚕糸のセリシンは桑育の蚕糸に比べて熱水に溶解しやすく製糸の歩留まりが低位にあったが、溶解特性解析の成果を生かして製糸プロセスに応用し、歩留まりを高めることができた(24-26%のセリシン含量の生糸が得られた)。この生糸と従来の桑葉育の生糸及び、両者から得たフィブロイン試料を用いて酸性染料(CI Acid O-7)による染色性を検討した。その結果、フィブロイン試料では、人工育と桑育の間でほとんど差異が無いことが分かった。一方、生糸試料では人工飼料育の方が染着速度、平衡吸着量ともに桑葉育よりも大きく、これは明らかに両試料間のセリシンの性質and/or含量の差異に帰着されるのでコンピュータ処理により定量的に評価した。フィブロイン試料のアミノ酸組成やX線的構造が両者間で差の無いことは従来と同様であったが、詳細に検討すると、結晶化度は若干の差があり、力学的挙動(荷重-伸長曲線、及び動的粘弾性挙動)も差があことが示唆され現在詳細に実験を進めている段階である。以上の成果の一部は、繊維機械学会年次大会(1997年6月、大阪科学技術センター)及び繊維学会秋期研究発表会(1997年11月、大阪府立大学)で発表した。
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[Publications] H.ITO,H.SASAKI: "Chemical structure and properties of silk proteins in relation to silkworm diet" Proceedings of the International Workshop on Green Polymers,Bandung-Bogor. 1. 349-354 (1997)
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[Publications] Y.MURAOKA,H.ITO: "Analytical technique for characterizing the initial stage of the dyeing process" Textile Research Journal. 68. 105-109 (1998)