1998 Fiscal Year Annual Research Report
生物肥料・生物農薬として機能するスーパー微生物資材の創生
Project/Area Number |
09556014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小柳津 広志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70177301)
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Keywords | 微生物資材 / 微生物農薬 / 微生物肥料 / Pseudomonas / AM菌 |
Research Abstract |
本年度は、小柳津らによって分離されたイネ科植物の根に非常に強い親和性を示す細菌P.fluorescensHP72のカビ病に拮抗する原因について解明するため、拮抗物質の構造解明を行った。その結果、この細菌の作る拮抗物質はPh1であることが明らかとなった。次にこのPh1を生産しない変異株をニトロソグアニジンによる変異誘導で作製し、これらの株に拮抗性があるか確認した。この結果、拮抗性は拮抗物質の生産とは関係なく、根での生残性が拮抗性の原因になっていることが判明した。今年度は微生物農薬の開発研究とは別に、植物のリン酸吸収およびマンガンなどの微量要素の吸収を促進する微生物資材として、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)およびその他の植物共生菌類の開発に関する研究も行った。トウモロコシとコムギの輪作を行っている圃場において、トウモロコシの栽培期間にこれの根に共生する菌類の感染率を測定したところ、特定の菌類で感染率の著しい上昇が見られた。この菌について、マンガン吸収との関係について統計的解析を行った結果、この菌の感染は植物のマンガン吸収と深い関わりがあることが判明した。この菌類はまだ分離、同定されていないが、微生物肥料として有望と考えられ、次年度においては分離を行う予定である。
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