Research Abstract |
我々は,Agrobacterium tumefaciensに抗菌活性を示すoxazolomycinから調製したエステル類が,抗菌活性を示さずクラウンゴール形成阻害活性を示す,特異的な形質転換阻害物質であることを見い出してきた。今回,これらの作用点解明に必要な量のoxazolomycinを調製する際に,oxazolomycin生産菌の培養液からoxazolomycinと同時に,oxazolomycinと同様のUVクロモフォアを持つ2つの化合物2と3を得た。各種の機器分析データの解析から,2,3はoxazolomycinの幾何異性体で,トリエン部分(4Z,6Z,8E)がそれぞれ(4E,6E,8E)と(4Z,6E,8E)であると決定し,oxazolomyciinB,oxazolomycinCと命名した。OxazolomycinsB,Cは,A.tumefaciensに抗菌活性を示さずクラウンゴール形成阻害活性,植物毒性を示した。この生理活性スペクトルは,oxazolomycin,そのエステル体いずれの場合とも異なっており,構造活性相関の観点から興味深い。次に,oxazoltriene構造を有するphthoxazolinがセルロース合成阻害活性を有していること,植物形質転換の最初の段階である,A.tumefaciensの植物への付着の段階にセルロース合成が必須であることが報告されているので,oxazolomycin類のクラウンゴール形成阻害活性は,セルロース合成阻害活性に由来する付着阻害活性によるものと推測し,付着阻害活性を測定した。Oxazolomycinとoxazolomycin diacetateは,A.tumefaciens接種後1時間の菌のポテトディスクへの付着実験において,付着阻害活性を示した。
|