1998 Fiscal Year Annual Research Report
連続測定可能な樹液流測定装置の試作・性能向上とそれによる森林蒸散量の季節変化計測
Project/Area Number |
09556029
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 雅一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (10144346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大手 信人 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10233199)
芝野 博文 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (00143412)
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Keywords | 樹液流 / ヒートパルス法 / 茎熱収支法 / 蒸散 / 森林環境計測 |
Research Abstract |
林木が根から水を吸収し、葉から蒸散する過程で、幹の中を流れる樹液流の流動を計測する装置の性能を向上させ、容易に利用可能な装置とすることが本研究の目的である。樹液流の計測では、測定当初に「良好に測定できているか」の判断が難しいことが多く、時間をかけて経験を積んだ後で、はじめて測定の状況が理解されるという傾向がある。したがって、測定機器が簡単で安定して稼動するということに加え、様々な樹種についてどのような測定値がえられるかの測定事例の蓄積を茎熱収支法と、ヒートパルス法の2方法についておこなった。樹液流の日変化だけでなく季節変化も得るには、長期間にわたり連続観測する必要があるので、長期間稼動させたときの問題も検討した。樹液流計測装置を複数台用いて、東大千葉演習林のスギ林、愛知演習林のヒノキ、コナラ混交林、タイの熱帯季節林(丘陵常緑林)などにおける連続した観測記録より、ヒートパルス方式と茎熱収支方式のどちらの装置とも、容易に安定して樹液流が得られることが示される。計測地点には、電源が乏しい遠隔地も含まれるが、3ヶ月に1回の保守、点検作業で良好な計測結果が得られることがわかった。また、本装置を設置している各地点は、いずれも気象水文観測が詳細になされており、樹液流流動の計測によって推定された蒸散量に与える、気象条件と土壌水分の影響が明らかになった。特に、雨季と乾季が明瞭なタイの熱帯季節林(丘陵常緑林)においては、乾季の土壌水分減少に伴う蒸散量の低下が、定量的に解明された。
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