1997 Fiscal Year Annual Research Report
森林資源を活用したタキソ-ル(抗ガン活性成分)の大量生産システムに関する研究
Project/Area Number |
09556033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Akita Prefectural College of Agriculture |
Principal Investigator |
菊地 與志也 秋田県立農業短期大学, 附属木材高度加工研究所, 研究員 (30279517)
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Keywords | タキソ-ル / タキサン化合物 / 高速溶媒抽出法 / イチイ |
Research Abstract |
タキソ-ルは、抗ガン活性作用をもつ化合物であり、既にアメリカをはじめ各国で医薬品として認可されている。本研究は再生産が可能で採取しやすいイチイ(T.cuspidata)の苗木を大量に増殖・栽培することにより、森林資源を育成し天然物を主体として、タキソ-ルなどの有効成分を低コストで大量に供給を行うシステムの開発を行うものである。 イチイは、北海道網走管内に多く分布おり、樹種特性や実用化を踏まえ、研究のフィールドとして、イチイの苗木を大量に植栽する苗畑やそれらを管理する設備等が必要となることから、本年度は、研究の基盤となる試験地を北海道網走管内に設定を行うとともに、グロースチャンバー(植物育成装置)を用い環境による成分変化などの検討を行った。 1.イチイの採取及び立地条件等の環境因子による検討 (1)部位別、立地別等にイチイを採取し、タキソ-ルの含有量について分析したところ、人工植栽したイチイの葉、苗木にタキソ-ルが多く含まれていることが分かった。 (2)苗木を用いグロースチャンバーにより人工的に環境を変化させたところ、光要因により、タキソ-ル等の増減する傾向がみられたが、詳細については、来年度以降も継続し検討を行う。 (3)イチイ部位別のメタノール抽出物の植物活性試験を行ったところ、樹皮抽出物に発芽・生長抑制作用が種子抽出物に促進作用がみられた。 2.イチイの成分抽出・分析 (1)定法により抽出し各種機器等による分析を行い、成分組成を調べた。 (2)抽出原料に適応した工業的な抽出法について検討を行ったところ、高速溶媒抽出法によりタキソ-ルを迅速に抽出することができた。 3.試験地の設定 (1)北海道紋別郡遠軽町にイチイの試験地を造成した。 (2)イチイの苗木を、年生別、植栽本数別、保育別などに植栽し、苗木の活着試験、生長量試験と成分の季節変動について当年度について分析を行った。 (3)発芽促進剤を用いイチイ種子の発芽試験を行った。(発芽については来年度調査予定)
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