1998 Fiscal Year Annual Research Report
効率的に泌乳を誘起する方法の確立と乳用家畜への応用
Project/Area Number |
09556060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 仙吉 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80114487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 不学 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (20175160)
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Keywords | マウス乳腺 / ミトコンドリア / Tm23メッセンジャーRNA / カゼインメッセンジャーRNA / 乳腺活性 / コンペティティブRT-PCR |
Research Abstract |
本研究は、泌乳の仕組みを分子機構で解明し、その成果に基づき効率的に泌乳を誘起することを目的とした。泌乳能力は、ミルクを作る細胞の数、および、細胞あたりのミルク合成能の積である。ミルクを作る細胞の数は、泌乳中細胞分裂が見られないことから妊娠中に大部分決まる。中でも妊娠末期に急激に細胞増殖が起こる。あらゆる細胞に普遍的に存在し、細胞内で由一のエネルギー(ATP)供給源であり、その多い少ないと細胞活性と関連するミトコンドリアに着目して研究を行った。最初に、ミトコンドリアのイオン運搬に関係するTm23メッセンジャーRNAの単離とそのcDNAから遺伝子構造を決定した(日本ジーンデータバンク登録済み)。加えて新しい構造を持つ三種類のメッセンジャーRNAの存在を明らかにした。それぞれはポリ(A)テール側の非翻訳領域に特徴があり、メッセンジャーRNAの安定性関係すると考えられた。次に、Tm23メッセンジャーRNAの発現量を明らかにする目的で、キメラRNAを作成し競合的RT-PCR法を開発した。その結果、Tm23メッセンジャーRNAは妊娠末期(分娩前日)と泌乳最盛期に最も強く発現し、乳腺の活性を測る指標となりうることが解った。特に、妊娠末期の強い発現は予想を越えていた。乳腺活性を表す指標としてカゼインメッセンジャーRNAの変化を調べた。特に安定性に関係するカゼインメッセンジャーRNAのポリ(A)テールの長さの変化を調べた。泌乳が進むにつれてポリ(A)テールの長さが短くなり、分解を受けやすいカゼインメッセンジャーRNAへと変化した。現在、それを防ぐ方法を検討中である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Kim JY,Mizoguchi Y,Kuraishi T,et al.: "Effects of weaning and suckling on γ-casein and prolactin receptor mRNA levels in the mouse mammary gland during lactation" Animal Science and Technology. 69(8). 728-733 (1998)
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[Publications] Mori M,Sakai S: "Regional difference of 11β-hydroxysteroid dehydrogenase activity in Quail oviduct" Animal Science and Techonology. 69(10). 916-922 (1998)
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[Publications] Imakawa,K,Ji Y,Yamaguchi H,et al.: "Co-expression of transforming growth factor β and interferon τ during peri-implantation period in the ewe" Endocrine Journal. 45(4). 441-450 (1998)
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[Publications] Aoki F,Sakai S,Kohmoto K: "Hyperactivated motility is induced by reagents depressing the function of calcilum in mouse sperm" Animal Science Journal. 70(3) (in press).
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[Publications] 酒井仙吉: "プロラクチンと乳腺" Hormone frontier in gynecology. 5(4). 373-378 (1998)