1997 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ未発育卵母細胞からの胚生産技術の開発に関する研究
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09556061
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
加藤 征史郎 神戸大学, 農学部, 教授 (90026386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 敬一郎 兵庫県立中央農業技術センター, 生物工学研, 主任研究員
原山 洋 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (30281140)
宮野 隆 神戸大学, 農学部, 助教授 (80200195)
三宅 正史 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (60093316)
河南 保幸 神戸大学, 農学部, 助教授 (60031192)
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Keywords | ブタ / 卵子形成 / 体外発育卵母細胞 / 体外成熟卵母細胞 / 胚生産 |
Research Abstract |
今年度の研究で得られた成果の一つは,ブタの卵胞腔形成機構の一端を明らかにしたことである。すなわち,卵母細胞はそれを包み込んで育てる卵胞の発達とともに発育するが,卵胞の発達過程で増殖した顆粒膜細胞の間隙に卵胞液が蓄積し,卵胞腔が形成される.この卵胞腔は,初期胞状卵胞から切り取った卵母細胞-卵丘細胞-顆粒膜細胞複合体であっても,コラーゲンゲルに包埋して卵胞刺激ホルモン(FSH)の存在下で培養すれば,再構築されること,その間に顆粒膜細胞内のcAMP含量が増加することや,dbcAMPは卵胞腔形成を誘起するが,エストラジオール-17βは無効であることなどを明らかにし,FSHの刺激によって顆粒膜細胞内で合成されたcAMPが顆粒膜細胞の増殖,形態変化,さらには卵胞液の分泌を促し,卵胞腔が形成されると結論した。また,卵母細胞の替わりに同じサイズのビーズで置き換えた複合体では卵胞腔形成は起こらないことから,卵母細胞と顆粒膜細胞との相互作用が重要な意味を持つことも示唆された。他の知見の一つは,卵母細胞の減数分裂再開過程においてcdc2キナーゼとMAPキナーゼの活性化が起こることや,cdc2キナーゼあるいはカゼインキナーゼを阻害すると減数分裂の再開が起こらないことなどを明確にしたことである。これらは,卵母細胞の発育-成熟培養系の開発に役立つ貴重な資料と考えられる。 卵母細胞のサイズと体外発育・成熟・受精能力との関係については,現行の培養系で最終サイズまで発育させうる最小のサイズは75〜90μmであることが確認された。培養系の改良とともに90μm以上の卵母細胞の体外発育・成熟・受精能力についてより詳細な検討を行う予定である。また,凍結保存法,電子顕微鏡的検索等についても,来年度も引き続き検討する予定である。
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