1997 Fiscal Year Annual Research Report
家畜排泄物から環境への重金属負荷軽減化に関する研究-微量元素の消化管内動態および利用性
Project/Area Number |
09556062
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
中嶋 隆 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50074050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雄一 滋賀県立大学, 環境科学部, 助手 (70171262)
松井 徹 京都大学, 農学部, 助教授 (40181680)
岡野 寛治 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (90074088)
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Keywords | フィチン酸 / 畜産環境 / 重金属 / フィターゼ / 血清中鉄 |
Research Abstract |
ブタを大豆粕区、発酵処理大豆粕区、無機リン添加区の3区分に分け、それぞれの飼料を給与した。発酵処理大豆粕給与および無機リン添加は銅の利用性に影響を及ぼさなかった。血清中亜鉛濃度および大腿骨中亜鉛濃度は大豆粕区および無機リン添加区と比較し、発酵処理大豆粕区において有意に高い値を示した。また、肝臓中亜鉛濃度は無機リン添加区と比較し、発酵処理大豆区において有意に高い値を示した。血清中鉄濃度は大豆粕区より発酵処理大豆粕区において有意に高い値を示した。これらの結果からフィチン酸は亜鉛および鉄の利用性を低下させること、また麹菌発酵処理は大豆粕中のフィチン酸を分解し、亜鉛および鉄の利用性を向上させることが示唆された。次いで、消化管内亜鉛の形態に及ぼす摂取飼料の影響を検討するため、離乳子ブタに大豆粕飼料または脱脂粉乳飼料を給与した。骨中亜鉛は大豆粕区と比較し脱脂粉乳区で高く、大豆粕区では亜鉛の利用性が低いことが示された。また小腸内容物を遠心分離しその上清を新たに開発した原子吸光分析/サイズ排除高圧液体クロマトグラフにより画分し、亜鉛の形態を検討した。脱脂粉乳区では3つの亜鉛のピークが認められたが、脱脂粉乳区で認められた大分子量のピークは認められなかった。この結果から、消化管内における低分子リガンドは給与飼料の影響を受けないが、大分子量のピークは両区で大きく異なり、この差が亜鉛利用性に影響を及ぼすことが示唆された。
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