動物におけるサイトカイン治療の臨床応用に関する研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09556067
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 長谷川 篤彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90011923)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 岩田 晃 (財)日本生物科学研究所, 研究部, プロジェクトリーダー (70193745) ; 亘 敏広 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (50220950) ; 辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60163804)
• Keywords: 獣医臨床 / サイトカイン / G-CSF / TPO / IL-1ra / 造血幹細胞 / 馬 / 猫

Research Abstract

動物におけるサイトカインの臨床応用のため、ヒトリコンビナント(hr)サイトカインを用いた系を検討するとともに、動物の各種リコンビナントサイトカインを作成した。
正常な犬におけるhr顆粒球コロ二一刺激因子(G-CSF)の効果を検討した結果、hrG-CSFの投与12〜24時間後に末梢血中における著明な好中球増多が認められ、骨髄においても好中球前駆細胞の増加が確認された。また、抗癌剤投与後に好中球減少症が認められた犬に対してhrG-CSFを投与したところ、速やかな好中球数の回復が認められた。猫においても同様の検討を行い、hrG-CSFが臨床応用可能であることが明らかとなった。また、LPS刺激CRFK細胞のcDNAを用い、猫リコンビナント(fr)G-CSFのcDNAクローンを単離することができ、それをバキュロウイルスベクターを用いた系で発現させたところ、NFS-60細胞の増殖を誘導する生物活性のあるfrG-CSFを得ることができた。また、血小板減少症を呈して死亡した猫の脾臓cDNAから猫リコンビナントトロンボポエチン(TPO)cDNAクローンを単離することができた。それを発現ベクターに組み込み、UT-7/TPO細胞を増殖させる生物活性のあるfrTPOを得ることができた。さらに、LPSで刺激した馬末梢血単核細胞から馬リコンビナント(er)IL-1レセプターアンタゴニスト(IL-1ra)cDNAクローンを得ることができ、それを発現させて得られたerIL-1raはA375S2細胞におけるIL-1活性を競合的に阻害したため、生物活性のあるerIL-1raが得られたことが示された。以上のように、本研究の結果、frG-CSF,frTPO,erIL-1raが得られ、今後、これらを実際の臨床に応用するための研究を継続する予定である。

Research Products

• [Publications] Mohamed,A., et al.: "Establishment of a sandwich enzyme linked immunosorbent assay for canine interleukin-8." Journal of Veterinary Medical Science. 59. 39-41 (1997)
• [Publications] Youn,H.-Y., et al.: "Genomic structure of the bovine mb.-1 gene encoding Ig-alpha subunit of the B cell antigen receptor complex." Veterinary Immunology and Immunopathology. 56. 247-257 (1997)
• [Publications] Kato,H., et al.: "Molecular cloning and functional expression of equine interleukin-1 receptor antagonist." Veterinary Immunology and Immunopathology. 56. 221-231 (1997)
• [Publications] Mizuno,T., et al.: "Apoptosis enhanced by soluble factor produced in feline immunodeficiency virus infection." Journal of Veterinary Medical Science. 59. 1049-1051 (1997)
• [Publications] Mizuno,T., et al.: "Molecular cloning of feline Fas antigen and Fas ligand and their expression in feline immunodeficiency virus infection." Veterinary Immunology and Immunopathology. (印刷中). (1998)
• [Publications] Endo,Y., et al.: "Molecular cloning of feline CC-chemokine cDNAs." Veterinary Immunology and Immunopathology. (印刷中). (1998)