1999 Fiscal Year Annual Research Report
内皮細胞のカベオラの特性を利用した血管病予防・治療薬開発のための基礎研究
Project/Area Number |
09557001
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Research Institution | NAGOYA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤本 豊士 名古屋大学, 医学部, 教授 (50115929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺下 善一 武田薬品工業株式会社, 創薬研究所III, 所長
向後 寛 名古屋大学, 医学部, 助手 (20282387)
萩原 治夫 群馬大学, 医学部, 講師 (80189464)
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Keywords | カベオラ / カベオリン-1 / チロシンりん酸化 / 内皮細胞 |
Research Abstract |
カベオリン-1はカベオラの骨格をなす分子量21-24kDの膜タンパク質であり,v-Srcによってチロシンりん酸化を受けるが,その機能的意義については明らかにされていない。我々は,14番目のチロシン(Tyr-14)でりん酸化を受けたカベオリン-1を特異的に認識する抗体(PY14)を作成し,局在と生化学的特徴を検討した。V-Src発現細胞ではPY14は22,23-24,25kDのバンドが標識され,後2者のバンドは脱りん酸処理により消失した。蛍光抗体法では,正常細胞のカベオリン-1は細胞辺縁部にパッチ状に観察されたが,v-Src発現細胞では辺縁部の標識はほとんど見られず,粗大な顆粒状標識として観察された。この顆粒状標識はカベオラ,様々な大きさの小胞の集合体,形質膜の膜内粒子の少ない平坦な領域のいずれかに相当することが免疫電顕により確認された。ついで,正常ラット組織および正常培養細胞についてPY14を用いた。ラット組織では,連続型毛細血管の内皮細胞などごく限られた細胞のみ標識された。また培養内皮細胞では酸化ストレスなどによってチロシンりん酸化が誘導され,カベオラが小胞として細胞内に移行した。これらの結果は,カベオリン-1発現量の増域とは別に,チロシンりん酸化によってカベオラ機能の修飾が起こり得ること,および内皮細胞においてはカベオラが小胞となり,細胞内にカベオラ由来と思われる小胞が集積することが判明した。これらの結果はカベオリン-1のりん酸化がカベオラもしくはカベオラ由来の小胞の平坦化,集合,融合を引き起こし,内皮細胞のトランスサイトーシスなどに関与する可能性を示唆した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hagiwara H.: "Cross-linking of plasmalemmal cholesterol in lymphocytes induces capping,membrane shedding,and endocytosis through coated pits"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 260. 516-521 (1999)
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[Publications] Kogo H.: "Caveolin-1 isoforms are encoded by distinct mRNAs.Identification of mouse caveolin-1 mRNA variants caused by alternative transcription initiation and splicing."FEBS lett.. 465. 119-123 (2000)
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[Publications] 藤本豊士: "カベオラと形質膜の機能ドメイン"膜(membrane). 24. 2-8 (1999)