1998 Fiscal Year Annual Research Report
二光子高速レーザ顕微鏡を用いた洞房結節細胞間シグナリングの画像化
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09557022
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
高松 哲郎 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40154900)
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Keywords | 洞房結節 / マルチピンホール式走査 / レーザ顕微鏡 / 二光子励起 / Fluo-3 / カルシウムイオン / デジタル画像 |
Research Abstract |
数十万のペースメーカ細胞からなる洞房結節から統一されたリズムが生まれる機序は不明である。この検討を可能とするため、多数の細胞が三次元構造を作り機能を営んでいる組織をそのまま観察できる顕微鏡システムの開発を試みた。生体を通過しやすい近赤外域レーザによる二光子励起を目指したレーザ顕微鏡に高速走査に優れたマルチピンホール式走査装置を組み込み、高い空間・時間分解能で観察できるシステムを試作した。 照明系スポットと受光系ピンホールの役目をさせる小さな穴を多数開けた円盤を共焦点の位置に置きこれを回転させることによって時間分解能の点で優位にあるマルチピンホール式走査型の共焦点顕微鏡システムを昨年度に組み立てた。さらに、二光子励起で得られる蛍光は微弱であることが予想されるため、高速度CCDカメラに適した極めて高感度のイメージインテンシファイア及びフレームあたり4から8ミリ秒の高速で観察可能なCCDカメラを組み込み調整した。本年度はこのシステムに近赤外域レーザによる二光子励起を組み込み、二光子励起であることや高速での観察を目的としているため、適当な蛍光プローブの選択と染色方法の開発、さらに効率の良い光路系の構築を検討した。 今回二光子励起に用いたのはアルゴンイオン・レーザによってポンピングされるモードロック・チタニウム・サファイアパルスレーザであり、これによって効率よく励起されるカルシウム蛍光プローブはfluo-3であった。また、ランゲンドルフ灌流した心臓にこの蛍光プローブを負荷するときの温度や濃度などを検討することによって心室作業筋をこれまで以上に明るく染色することが可能となった。その結果、まだ十分な解像度は得られていないが、心臓内に生じたカルシウム波が細胞内を伝播していく様子を、ビデオレート(30フレーム画像/秒)で連続したデジタル画像として入力することができた。
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[Publications] Takamatsu,T.: "Confocal microscopy:Applications in research and practice of Pathology" Analyt.Quant.Cytol.Histol.20. 529-532 (1998)
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[Publications] Hama,T.: "Real-time in situ confocal imaging of calcium wave in the perfused whole heat of rats" Cell.Signal.5. 331-337 (1998)
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[Publications] Masuda,A.: "Regulation of cytosol-nucleus pH gradients by K+/H+ exchange mechanism in the nuclear envelope of neonatal rat astrocytes" Brain Res.807. 70-77 (1998)
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[Publications] Oyamada,M.: "Gap junctions in health and disease" Med.Electron.Microsc.31. 115-120 (1998)
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[Publications] 高松哲郎: "共焦点顕微鏡" 病理と臨床. 16. 593-597 (1998)
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[Publications] 横山慶一: "心筋におけるカルシウム波" 細胞. 30. 15-18 (1998)
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[Publications] 高松哲郎: "組織細胞化学1998(日本組織細胞化学会編)" 学際企画, 8 (1998)
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[Publications] Oyamada,M.: "Gap Junction monograph 1997" ISO press, 5 (1998)