1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09557056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北本 哲之 東北大学, 医学部, 教授 (20192560)
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Keywords | プリオン病 / プリオン蛋白 / トランスジェニックマウス / 遺伝子置換 / 感染実験 / ヒト型マウス |
Research Abstract |
研究代表者は今年度さらに高い発現を有するトランスジェニック(Tg)・マウスの作製に成功した。マウス・プリオン蛋白遺伝子をクローニングして、自然な発現分布をもつTgマウスの作製を試みた。Tgマウスは、遺伝子導入量に一致して、ヒト・プリオン蛋白の発現量を示し野生型マウスに比べて等倍から20倍までのmRNAの発現を示した。また、プリオン蛋白の発現もWestern blotにて高い発現を確認した。Tgマウスをもちいた組織学的検索にて、正常プリオン蛋白が中枢神経系の神経細胞だけでなく、神経堤由来の交感神経節、末梢神経、副腎髄質、甲状腺C細胞などの一般臓器にもひろく発現していることが明らかになった。また、Tgマウスで明らかになった正常プリオン蛋白の分布は、野生型のマウス及びハムスターでも正常プリオン蛋白が発現していることを同定した。この結果、プリオン蛋白は、一般臓器では発現しているにもかかわらず、異常プリオン蛋白への変換が起こらないことより、中枢神経系の神経細胞と濾胞樹状細胞には細胞特異的なプリオン蛋白の変換に関わる因子が存在することが示唆された。このような結果は、当初予想された成果ではないが、プリオン蛋白の異常化の変換因子を解明する重要な発見である。ヒト・プリオン蛋白を遺伝子導入したマウスは、予定どうりヒトのCJD孤発例及び硬膜移植後CJDの剖検脳をもちいて感染実験を試行中(現在160日経過)であるとともに、Tgマウスはプリオン蛋白遺伝子をノックアウトしたマウスと交配し完全なヒト型マウスを作製中である。また、遺伝子置換法ともちいたヒト型マウスも、今年度ヒト・野生型プリオン蛋白遺伝子に置換したマウスが完成し、Tgマウスとあわせて伝播実験を行う予定である。本研究の主題である感染実験はすべて予定どうり進行している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kawasaki K, Wakabayashi K, Kawakami A, Higuchi M, Kitamoto, T, Tsuji S, Takahashi H: "Thalamic form of Creutzfeldt-Jakob disease or fatal insomnia-report of a sporadic case withnormal prion protein genotype" Acta Neuropathol. 93. 317-322 (1997)
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[Publications] Parchi P, Capellari S, Chen SG, Petersen RB, Gambetti P, Kopp N, Brown P, Kitamoto T, Tateishi J, Giese A, Kretzschmar H.: "Typing prion isoforms" Nature. 386. 232-233 (1997)
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[Publications] Tanaka Y, Minematsu K, Moriyasu H, Yamaguchi T, Yutani C, Kitamoto T, Furukawa H.: "A Japanese family with a variant of Gerstmann-Traussler-Scheinker disease." J.Neurol.Neurosurg.Psych. 62. 454-457 (1997)
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[Publications] Shin R-W, Ogino K, Kondo A, Saido CT, Trojanowski JQ, Kitamoto T, Tateishi J: "Amyloid b-protein(Ab)1-40 but not Ab1-42 contributes to the experimental formation of Alzheimer disease amyloid fibrils in rat brain." J.Neurosci.17. 8187-8193 (1997)
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[Publications] Shibuya S, Shin R-W, Higuchi J, Tateishi J, Kitamoto T.: "Codon 219 Lys allele of PRNP is not found in sporadic Creutzfeldt-Jakob disease." Ann Neurol. (in press).
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[Publications] Shibuya S, Higuchi J, Shin R-W, Tateishi J, Kitamoto T.: "Protective prion protein polymorphisms against sporadic Creutzfeldt-Jakob disease." Lancet. (in press).