1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09557056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北本 哲之 東北大学, 医学部, 教授 (20192560)
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Keywords | プリオン病 / プリオン蛋白 / トランスジェニックマウス / 遺伝子置換 / 感染実験 / ヒト型マウス |
Research Abstract |
研究代表者は、昨年度高い発現を有するトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、今年度はこれらの樹立したTgマウスに感染実験を行った。作製したTgマウスはヒト・プリオンに対して高い感受性を示すことが明らかとなった。従来の野生型マウスを使ったヒト・プリオンの感染実験では、600日におよぶ長い潜伏期間の後、20%程度のマウスが発病するという感度の低いものであった。我々の樹立したTgマウスは、孤発例CJDの剖検脳の10%脳乳剤を投与したころ、平均154日の潜伏期間の後100%の動物が発病した。最短の潜伏期間は132日であった。この潜伏期間より、バイオアッセイ法の感度を推定するため、従来のマウス・プリオンを使った感染実験の潜伏期と比較した。10^<-2>希釈が148日、10^<-3>希釈で160日、10^<-7>では280日の潜伏期で発病率が20%というのがマウスを使ったマウス・プリオンの感染実験の結果であった。この結果と比較すると、従来の野生型マウスでのヒト・プリオンの伝播実験は10^<-7>以下の感度であったが、Tgマウスを使うことによって10^<-2>から10^<-3>程度まで感度をあげたことになる。つまり、ヒト・プリオンに対する感受性は100万倍にあがったわけである。また、欧米で開発されたTgマウスと比較しても100倍から1000倍ほど感受性が優れており、今後本研究の主題である、プリオンの少ないと予想される臓器などの感染実験でも十分な感度での検討が可能となった。以上のように、予想をはるかに越える高感受性のマウスモデルの樹立に成功し、本研究は順調に予定通り進行している。
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[Publications] Shibuya S,Higuchi J,Shin R-W,Tateishi J,Kitamoto T.: "Protective prion protein polymorphisms against sporadic Creutzfeldt-Jakob disease." Lanset. 351. 419 (1998)
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[Publications] Shibuya S,Shin R-W,Higuchi J,Tateishi J,Kitamoto T.: "Codon 219 Lys allele of PRNP is not found in sporadic Creutzfeldt-Jakob disease." Ann Neurol. 43. 826-828 (1998)
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[Publications] Shimizu S,Hoshi K,Muramoto T,Homma M,Ironside JW,Kuzuhara S,Sato T,Yamamoto T,Kitamoto T.: "Creutzfeldt-Jakob disease with florid plaques after cadaveric dural grafting." Auch.Neurol. (in press). (1998)