1997 Fiscal Year Annual Research Report
母乳オステオポンチンの生理的意義と経口的骨形成的長剤としての有効性に関する研究
Project/Area Number |
09557062
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 邦彦 北海道大学, 医学部, 教授 (60091451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真船 直樹 北海道大学, 医学部, 助手 (70241304)
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Keywords | オステオポンチン / Ca結合蛋白 / 母乳 / 血清 |
Research Abstract |
オステオポンチンは骨形成における骨芽細胞、破骨細胞の動員や、Ca代謝に関与する蛋白質である。骨組織のマトリックスを形成する非コラーゲン性蛋白として発見されたが、この蛋白質は母乳、胎盤、白血球、腎臓、脳、血管はもとより癌細胞にも広く分布する接着分子であることが明らかにされた、分子内に多量の燐酸基を有する特殊な蛋白質で、骨以外での存在意義は未だ不明である。我々は本蛋白質の生物学的機能を解明する事を目的として、母乳や血清、白血球の本蛋白質の精製と解析を試みた。 [結果]1)人母乳から隣蛋白を精製し、そのN末端アミノ酸配列を解析したところ、オステオホンチン遺伝子DNAから推定される配列と一致したことから、人母乳オステオホンチンと同定した。この分子を家兎に免疫し、抗オステオホンチン抗体を作製した。本抗体は母乳のオステオホンチンと免疫沈降反応やWestem blotで78kDパンドとして反応性を示し、かつ同抗体で作成したELISAでも反応性が確認された。2)抗体を指標として、血清の隣蛋白中にオステオホンチンの同定を試みたところ、Western blot法では50kD以下の小分子分画に複数の抗体反応物質を同定はできたが、沈降反応やELISA法では反応物質の存在は確認できなかった。ただし、血清の隣蛋白はELISAや沈降反応による母乳オステオホンチンと抗体の反応を阻害する活性を有していた。3)人白血球の細胞質蛋白にWestern blotで、血清と同様の小分子分画に抗体反応物質の存在が認められた。現在、血清や白血球中のオステオホンチン様物質が何故母乳のオステオホンチンと異なる免疫学的性格を示すのか、検討中である。 [考察]上の結果は、母乳中にはオステオホンチンとして分離同定できる物質があるが、血清中にはWestemblot法では抗オステオホンチン抗体反応物質として同定出来るにもかかわらず、ELISAや沈降反応ではその存在が確認できない、ただし、後者の系で母乳オステオポンチンの反応を阻害する物質が存在すると言うことを示す。この、血清中の物質は分子量的には母乳オステオポンチンとやや異なり、ヘテロジニアスなバンドとして同定できることから、オステオホンチンの分解産物である可能牲がある。現在、この血清中の抗オステオポンチン抗体反応物質がオステオポンチン相同物質か異なかを検討中である。
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