1997 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン遺伝子の動脈硬化巣細胞への移入により病巣を修飾する手法の確立
Project/Area Number |
09557074
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 康 千葉大学, 医学部, 教授 (50101358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春野 明弘 大鵬薬品工業(株), 創薬センター生体防御研究所, 研究員
武城 英明 千葉大学, 医学部, 助手 (80291300)
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Keywords | サイトカイン / 遺伝子発現 / 動脈硬化 / 平滑筋細胞 |
Research Abstract |
本研究は、各種サイトカインによる動脈硬化巣の修飾とその機序を明らかにすることを目的としており、病巣細胞におけるサイトカイン遺伝子発現系の確立、発現細胞の機能解析、さらに確立した遺伝子発現系を用いたin vivoでの動脈硬化巣の修飾について検討を実施する。今年度は、私共が動脈硬化巣の修飾に関与することを明らかにしたサイトカインの1つであるCNPを用いて以下の検討を行なった。 1.CNP遺伝子のアデノウィルスベクターへの構築とin vitroにおける発現効率の検討:自己増殖不能なE1、E3欠失型のアデノウィルスを用いて、ラットCNPを発現するアデノウィルスベクターを構築した。in vitroにおける発現効率の検討は平滑筋細胞を用いて培養上清中に発現、分泌されたCNPをRIA法を用いて検討し、ベクターの容量依存性に発現されることを明らかにした。さらに、CNP受容体を発現させたCHO細胞における細胞内cyclic GMP濃度の上昇を指標として発現したCNPが生理活性を有することを確認した。 2.CNP発現細胞の機能解析:CNP遺伝子を導入した平滑筋細胞における血清刺激によるDNA合成および細胞増殖について検討し、CNPの発現量の容量依存的なDNA合成抑制、増殖抑制効果について明らかにした。 3.CNP遺伝子発現系を用いたin vivoでの動脈硬化巣の修飾:バルーン法によるラット頚動脈内膜肥厚モデルを用いて、遺伝子導入したCNPのin vivoでの発現を免疫組織学的に確認した。さらに、CNPによる内膜肥厚の修飾について病理組織学的に検討し、内膜肥厚を著明に抑制することを明らかにした。 以上の今年度の成果は当初の目的を十分に達成しており、動脈硬化巣に対する直接的な治療法の確立の可能性も示唆するものであった。来年度は、臨床的に重要なプラークの破綻や安定化についても検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)