1997 Fiscal Year Annual Research Report
新規白血病治療薬としてのトキシン結合顆粒球コロニー刺激因子の開発に関する研究
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09557082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東條 有伸 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00211681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾野 雅義 中外製薬育成研究センター, センター長
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
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Keywords | 白血病 / 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF) / 緑膿菌外毒素(PE) |
Research Abstract |
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は抗癌剤投与後の好中球減少症からの回復を促進する目的で広く使用されており、投与時の副作用はほとんどない。またそのレセプターの発現は骨髄系細胞に限局している故、毒素を融合しても他臓器への障害が最も少ないサイトカインであろう。われわれはG-CSFとPE40のハイブリッド毒素[G-CSF-PE40;G-CSFトキシン]を遺伝子組み換え技術を駆使して作製し、これまでに若干の基礎検討を行ってきた。G-CSFトキシンはG-CSFレセプターに結合してそのシグナルを活性化したが、細胞内に侵入後致死作用を示した。また、その効果はG-CSFレセプターの発現に依存しており、かつ用量依存的であった。しかしながらG-CSFのN末端数アミノ酸をコードする塩基配列がGC-richであるため、われわれの用いたpETべクターと大腸菌BL21(λDE3)の組み合わせでは産生量が極めて少なかった。また、大腸菌由来G-CSFトキシンは物理的に不安定で速やかに失活したが、これはG-CSFのCys^<17>を介して重合が起こるためと考えられた。そこで、まずG-CSFトキシンの産生量と安定性を増すため遺伝子レベルで改良を加えた。 改変の要点は以下の通りである。 [a]G-CSFトキシンの発現量を改善し、また可溶性蛋白質として回収するため大腸菌アルカリフォスファターゼ(phoA)のシグナル配列をG-CSFのN末端に付加した。 [b]重合体形成をおこさないようにG-CSFのCys^<17>をSerに置換した。 [c]G-CSFとPE40の間にリンカー配列(Gly-Gly-Gly-Ser)_3を挿入して互いの立体構造の干渉を避けた。 [d]G-CSFトキシンの細胞質移行を促進するためPE40のC末端に位置する細胞質内滞留シグナル(REDLK)をKDELに置換した。 改変は主として変異を導入したオリゴヌクレオチド・プライマーを用いてPCR法で行ったが、単一の変異を導入したものから4つの変異を導入したものまで複数のプラスミドの構築を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Nishida et al.: "In vitro effects of a recombinant toxin,mSCF-PE40,Targeting c-kit receptors ectopically expressed in small cell lung cancers." Cancer Letters. 113. 153-158 (1997)
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[Publications] 東條有仲, 大島康雄: "キメラトキシンによる癌のターゲティング療法" 血液・腫瘍科. 34・3. 217-222 (1997)