1998 Fiscal Year Annual Research Report
腹膜播種した癌細胞に対する新しい遺伝子治療法の開発
Project/Area Number |
09557103
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
二村 雄次 名古屋大学, 医学部, 教授 (80126888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梛野 正人 名古屋大学部, 医学部, 格子 (20237564)
萩原 正敏 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (10208423)
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Keywords | 遺伝子治療 / 発現ベクター / 腹膜播種癌 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
遺伝子治療で癌細胞を殺すcytotoxityを担う分子としてthymisine kinaseなどが用いられているが、そのcytotoxityは充分でないことが多い。そこで、我々はジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)の外毒素遺伝子のフラグメントAをレトロウイルスベクターに組み込んだ。この毒素は易熱性の分子量約58,000の1本鎖のポリペプチドで、毒素はフラグメントA(分子量約21,000)とフラグメントB(分子量約37,000)からなる。フラグメントB部分は感受性細胞表面のレセプターと結合し細胞内とり込みに必須で、フラグメントAはペプチド伸長因子EF2をADPリボシル化することによって蛋白合成を阻害し細胞を死に至らしめる。このベクターウイルスが感染して壊死した癌細胞から外液に出たジフテリアトキシンは、フラグメントBを欠損しているため他の細胞内には入れないので、周囲の正常組織を壊死させることはないように設計した。 ジフテリアトキシンという強力なcytotoxic分子をベクターに組み込むため、この分子が正常組織で発現して副作用をもたらさないように、薬物存在下でのみ働く転写制御装置を組み込むことにした。こうした人工的転写制御分子として、パスツール研究所で開発されたrtTR(reverse tetracyc1ine contro11ed trans activator)を用いることにした。このrtTRは大腸菌のドキシサイクリン依存性レプレッサー(rTR)をもとに構築された分子で、ドキシサイクリン存在下でのみ転写を活性化する働きがある。即ち、ジフテリアトキシンをこの転写装置の制御下におき、ドキシサイクリシを腹膜腔内に投与すれば、万一、他臓器(たとえば骨髄など)にレトロウイルスベクターが感染しても、腹膜腔内でしかジフテリアトキシンが発現せず、極めて安全性が高い。ところが実際に、rtTR-ジフテリアトキシン発現ベクターを構築し、細胞に発現させてみると、それらの細胞はドキシサイクリン非存在下でも死滅した。これはドキシサイクリン非存在下でジフテリアトキシンのフラグメントAがleakyに発現したことによる。そこで更に我々はドイツのDr.Marius Ueffingらからで新しいrtTR発現システムを導入し、現在ジフテリアトキシンのフラグメントAを組み込んでいる所であるが、この発現誘導システムはleakが極めて少ないので、新しい遺伝子治療法として期待できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Moriguchi T,et al.: "Purification and identification of a major activator for p38 from osmotically shocked cells.Aclivation of MAPKK6 by osmotic shock,tumor necrosis factor-a and H202" J Biol Chem. 271. 26981-26988 (1996)
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[Publications] Watanabe Y,et al.: "Characterization of a serum response factor-like protein in saccharomyces cerevisiae,Rlml,which has transcriptional activity regulated by the Mpkl(Slt2)mitogen-activated protein kinase pathway" Mol Cell Biol. 17. 2615-1623 (1997)
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[Publications] Kamimoto T,et al.: "Dymple,a novel dynamin-like high molecular weight GTPase lacking a proline-rich C-terminal domani in mammalian cells" J Biol Chem. 273. 1044-1051 (1998)
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[Publications] Shimomura A,et al.: "Dominant negative ATFl blocks cyclic AMP-induced neurite outgrowth in PC12D cells" J Neurochem. 70. 1029-1034 (1998)
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[Publications] Nimura Y,et al.: "Aggressive surgical treatment of hilar cholangiocarcinoma" J Hep Bil Pancr Surg. 5. 52-61 (1998)
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[Publications] Sakamoto E,et al.: "The pattern of infiltration at the proximal A histologic analysis of 62 resected cases." Ann Surg. 227. 405-411 (1998)