1997 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入によるアポトーシスの制御を応用した人工補助循環下臓器障害治療法の開発
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09557109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤 芳樹 大阪大学, 医学部, 助手 (00243220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 釖嶂 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
平田 展章 大阪大学, 医学部, 助手 (70283752)
鍵崎 康治 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
西村 元延 大阪大学, 医学部, 助手
松田 暉 大阪大学, 医学部, 助手 (00028614)
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Keywords | LVAS / 術後肝障害 |
Research Abstract |
1、開心術増帽弁膜症症例において、術後血清ビリルビン値(Bil)が中等度上昇したA群と軽度上昇したB群に分け、術前後における肝実質細胞障害の指標としてAST,ALT、肝類洞内皮細胞障害の指標として、主として肝類洞内皮細胞によって代謝される血清ヒアルロン酸(HA)、ドップラー超音波法による門脈血流量を比較検討した。その結果、術前Bilは両群間で有意差を認めず、ALT、AST、門脈血流量を両群間で術前術後に有意な差を認めなかった。しかし、HAでは術前はB群に比しA群は高値であり、術後は両群とも術前に比し上昇し、かつ、B群に比しA群は高値であった。以上より、肝類洞内皮細胞障害が開心術術後高ビリルビン血症の発生に関与しているものと考えられた。 2、LVAS装着中の高ビリルビン血症発生の原因を解明することを目的として、炎症反応や感染、溶血との関連を、LVAS装着中の肝微小循環障害の指標としてICG15分値および、ヒアルロン酸(HA)を用い、炎症反応や感染の指標としてIL6,IL8,WBC,CRP,エンドトキシンを、溶血の指標としてLDH,free HBを用いて検討した。その結果、TBとHAの間には有意な正の相関を認め、TBとICG15分値との間にも有意な正の相関を認めた。TBとIL6の間には有意な相関は認めなかったが、TBとIL8の間には有意な正の相関を認めた。TBとLDH,free HBやWBC,エンドトキシンとの間には有意な相関は認めなかったが、TBとCRPとの間に有意な正の相関を認めた。以上より、LVAS装着術後の高ビリルビン血症の発生原因として肝類洞微小循環障害および炎症反応や感染との関与が示唆された。
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