1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入によるアポトーシスの制御を応用した人工補助循環下臓器障害治療法の開発
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09557109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤 芳樹 大阪大学, 医学部, 講師 (00243220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 元延 大阪大学, 医学部, 助手 (90291442)
松田 暉 大阪大学, 医学部, 教授 (00028614)
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Keywords | 高ビリルビン血症 / サイトカイン / 開心術 |
Research Abstract |
重症弁膜症症例における開心術術後の高ビリルビン血症発生、長期遅延を予測するため、術前の肝細胞障害、肝類洞内皮細胞障害、肝機能、炎症反応と術後の血清総ピリルビン値(Bil)および術後高ビリルビン血症経過日数の関連性について検討した。【方法】1996年から1998年までに施行した弁膜症単独開心術症例のうち術前後に高ビリルビン血症以外の合併症を認めなかった17例(平均年齢54±16歳、男:女=7:10)を対象とした。術前の肝細胞障害の指標としてAST,ALT、肝類洞内皮細胞障害の指標として血清ヒアルロン酸(HA)、肝細胞再生の指標としてHepatocyte Growth Factor(HGF)、肝機能の指標として血清総ビリルビン値(Bil),コリンエステラーゼ(ChE)、炎症反応の指標としてCRP,IL-6,IL-8を想定し、これらの因子と術後高ビリルビン血症発生の関係について検討した。【結果】術後1週間までの最高Bil(max Bil)は1.1〜11.0mg/dl(平均2.6±2.3mg/dl)であり、その値と術前Bil(R=0.5,p<0.05),ChE(R=0.8,p<0.001),HA(R=0.5,p<0.05),IL-6(R=1.0,p<0.0001)は有意相関を認めた。そこで有意相関を認めたこれらの因子を用いて多変量回帰分析を施行したところ、IL-6が最も強い相関を示した(R=1.0,R2乗=1.0,p<0.0001)。一方、術後Bilが1.4mg/dl以上で遅延した日数と有意相関を認めた術前因子もやはり術前Bil(R=0.5,p<0.05),HA(R=0.5,p<0.05),IL-6(R=0.9,p<0.0001)であった。そこで有意相関を認めたこれらの因子に対して多変量回帰分析を施行したところ、IL-6が最も強い相関を示した。(R=1.0、R=2乗=1.0、p<0.0001)。【総括】1)弁膜症に対する開心術症例17例を対象として術後肝機能障害発生の術前因子について検討した。2)術後1週間におけるBil最高値及び術後高Bilが遅延した日数は術前Bil,ChE,HA,IL-6と有意な正の相関を認め、多変量回帰分析ではこのうちIL-6で最も強い相関を認めた。3)以上より、重症弁膜症例における術後高ビリルビン血症の発生には、術前よりのサイトカインネットワークの異常の関与が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yoshiki Sawa: "Gene Therapy in Cardiovascular Surgery" Sugery Today. 28. 125-128 (1998)
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[Publications] 澤 芳樹: "循環器疾患の遺伝子治療" 医学のあゆみ. 185-1. 91-94 (1998)
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[Publications] 平田 展章: "慢性肝炎、肝硬変合併 心、大血管手術" 日本外科学会雑誌. 98-8. 671-675 (1997)