1997 Fiscal Year Annual Research Report
胸部大動脈瘤の血管内治療における脊髄障害発生の予知と対策に関する研究
Project/Area Number |
09557111
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
石丸 新 東京医科大学, 医学部, 教授 (50112785)
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Keywords | 胸部大動脈瘤 / 脊髄虚血 / 対麻痺 / ステントグラフト / 血管内治療 / 自己拡張型ステント |
Research Abstract |
胸部大動脈瘤の血管内治療に際し、大動脈より分枝する肋間動脈の血流遮断に伴う脊髄虚血障害の発生が重大な合併症である。平成9年度は、脊髄虚血の予知手段として用いる回収可能な血管内挿型人工血管の開発改良を行った。 教室で独自に開発した血管内で任意に開閉できる回収可能な血管内挿型人工血管を、一部民間企業に依頼して加工製作した。動脈内での放出固定および回収機能について検討するため、シリコーン製の胸部大動脈瘤模型を作成してシュミュレーション流体実験を行った。流体実験では、ローラーポンプを装着した体外循環回路に動脈瘤模型を接続し、一定の回路内圧を保持しつつ拍動流を再現した回路内に内挿型人工血管を留置し、その屈曲形状や拍動下での壁運動を高速度ビデオ撮影した。VTR画像を解析することにより回収型人工血管の拡張性、柔軟性、壁密着性、また回収時の摩擦抵抗および耐久性を解析した。解析結果に基ずいて内挿型人工血管の骨格となるステンレス性ステントの改良を重ね、より完成度の高い構造と運動システムを構築した。 その結果、自己拡張型Z-ステントを連結する9本のストラットには0.4mm以下の細径ステンレス針を使用することで柔軟性を確保することが可能と考えられた。密着性については、人工血管の両端に配置したステントの各末梢端にストラットを固定して、ステントの充分な自己拡張性を得ることが必要であった。人工血管材料をPTFEとし、これをステント骨格の内側に縫着することにより、カテーテル内への回収を安全確実に行うことが可能となった。
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