1998 Fiscal Year Annual Research Report
生体分解性高分子強膜プラグによる硝子体内薬物放出制御システムの開発
Project/Area Number |
09557137
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70191963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 淳稔 参天製薬眼科研究所, 眼科動態研究グループ, グループ長
櫻井 英二 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (30305528)
尾関 年則 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (60254299)
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Keywords | 生体分解高分子 / ポリ乳酸 / 5-フルオロウラシル / 硝子体 |
Research Abstract |
我々はこれまでに抗ウイルス剤であるガンシクロビルを生体内分解性高分子強膜プラグに適用した。しかしながら、これは溶出後期に多量が溶出し、これに伴う毒性が懸念されることより、溶出改善が望まれていた。そこで、高分子量および低分子量のポリ乳酸(PLA)をブレンドすることにより後期バーストを抑制すべく溶出の改善を試みた。分子量40,000以上の高分子量PLAと分子量20,000以下の低分子量PLAを種々の割合で混和して、強膜プラグを調製し、in vitroにおける薬物溶出性を評価した。使用する高分子量PLAおよび低分子量PLAの種類および混合割合を変化させることにより、溶出期間を6ヶ月から1年間にわたり,擬0次溶出させることに成功した。次に25%GCVを含有する高分子量PLA(分子量70,000)と低分子量PLA(分子量5,000)を95:5で混和した強膜プラグを有色家兎眼毛様体扁平部に移植し、経時的に硝子体内GCV濃度を高速液体クロマトグラフィーにより測定したところ、6ヶ月間にわたり硝子体液中濃度は有効治療域に一定に維持された。 一方、タンパク性薬物であるインターフェロンβ(IFN-β)を含有する強膜プラグ調製法について検討した。あらかじめ製した乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)(組成比率75:25、分子量33,000)ナノスフェア-水性懸濁液中でIFN-βを吸着させ、これを凍結乾燥し、PLGA-IFN-β粉末を得た。この粉末を直接圧縮法によりIFN-β含有強膜プラグを製した。IFN-β含有強膜プラグ調製後のIFN-βの残存活性を酵素免疫定量法により測定したところ、IFN-βの活性低下は認められなかった。 以上より、生体内分解性高分子強膜プラグにおいて適切な基剤を選択すれば、含有する薬剤を長期間擬0次的に溶出させることができ、さらに熱および有機溶媒を全く使用せずタンパク性薬物をも安定に含有させることができることより臨床応用可能な硝子体内薬物放出制御システムであると考えられる。
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