1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌の付着メカニズムに基いた特異的感染抑制物質の開発と探索
Project/Area Number |
09557139
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜田 茂幸 大阪大学, 歯学部, 教授 (60028777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 隆治 サントリー(株), ヘルスケア事業部, 部長(研究職)
川端 重忠 大阪大学, 歯学部, 助教授 (50273694)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 線毛 / BIAcore / プロテアーゼ |
Research Abstract |
Porphyromonas gingivalisの線毛は本菌の口腔内への付着・定着に重要な役割を果たしており,本菌の歯周病原性と密接な関わりを持つと考えられている.本線毛はいくつかのヒト口腔内タンパク質に対し強い結合能を有することが明らかにされているが,その結合反応のメカニズムについては明らかにされていない.そこで本研究では,BIAcore(Pharmacia Biotech)を用いてP.gingivalis線毛と種々のヒトタンパク質との結合反応の解析を行った.線毛はP.gingivalis 381株より分離・精製した.ヒトタンパク質としては,フィブロネクチン,ラミニン,コラーゲン,フィブリノーゲン,ヘモグロビンおよびヒト唾液タンパク質(PRP,PRG,スタセリン)を用いた.線毛との結合はBIAcoreを用いて測定し,各々の結合における結合定数および解離定数を算出した.P.gingivalis線毛は供試した全てのヒトタンパク質に対し線毛結合量,反応速度,解離速度はそれぞれ異なるものの,有意の結合能を示した.PRPの線毛との結合領域を含む合成ペプチドの添加により線毛と唾液タンパク質およびコラーゲンとの結合は著明に阻害されたが,ラミニンやフィブロネクチンでは著名な阻害効果は認められなかった.また,L-アルギニンの添加によりPRP,PRGでは阻害効果は認められたものの,コラーゲンと線毛との結合はあまり抑制されなかった.以上の結果より,P.gingivalis線毛は種々のヒトタンパク質への結合能を有すること,しかしその様式は一様ではなくいくつかの様式が存在することが示唆された.
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[Publications] Amano,A.et al.: "Binding of Porphyromonas gingivalis fimbriac to proline-rich glycoproteins in parotid saliva via a domain shared by major salivary components" Infection and Immunity. 66・5. 2072-2077 (1998)
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[Publications] Hamada,S.et al.: "The importance of fimbriae in the virulence and ecology of some oral bacteria" Oral Microbiology and Immunology. 13・3. 129-138 (1998)