1997 Fiscal Year Annual Research Report
ニューキノロン系抗菌剤を用いた歯周病局所化学療法剤の開発ーgenomic PCRを用いた歯周病関連細菌検出法による薬剤効果判定の試み-
Project/Area Number |
09557153
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 宏 大阪大学, 歯学部, 教授 (40038865)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 剛徳 大阪大学, 歯学部, 助手 (30263304)
楠本 豊 大阪大学, 歯学部, 助手 (40252689)
北村 正博 大阪大学, 歯学部, 講師 (10243247)
村上 伸也 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70239490)
島内 英俊 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70187425)
|
Keywords | 歯周治療 / 成人性歯周炎 / 局所化学療法 / local drug delivery system / ニューキノロン系抗菌剤 / 歯周病関連細菌 / 治療効果 / genomic Polymerase Chain Reaction |
Research Abstract |
ニューキノロン系抗菌剤の歯周病関連細菌に対する最小発育濃度(MIC)をin vitroで検討した結果、Porphyromonas gingivalis( Pg)およびActinobacillus actinomycetemcomitansのトシル酸トスフロキサシン(TFLX)に対するMICがそれぞれ0.39μg/mlおよび0,025μg/mlと低濃度を示し、TFLXがニューキノロン系抗菌剤の中でも歯周病関連細菌に対して強い抗菌力を有していることが明らかとなったことから、TFLXを歯周病局所化学療法に用いる抗菌剤に選定した。そして、TFLXと親和性がよく、歯周ポケット内で同薬剤の有効濃度を長時間保持する薬剤徐放性基剤として、乾燥硫酸アルミニウムカリウム、HPMC2208、プラスチベースから成る基剤を開発し、TFLX含有歯周病局所化学療法剤を開発した。この開発した製剤を用いて製剤の安全性、歯周ポケットと血中における体内動態について健常成人男子を対象として検討した。その結果、製剤の単回および反復投与試験において内科的・歯科的自覚症状および他覚所見、臨床検査値において臨床上問題となる症状は認められなかった。また、歯周ポケット内浸出液中の薬剤濃度はほぼ用量依存的に上昇し、TFLXを4%含有した製剤を投与した場合、耐性菌に対しても有効性が期待される10μg/ml以上の薬剤濃度を投与後2日間維持した。一方、血中TFLX濃度はすべて検出限界以下であり、本剤の蓄積性は認められなかった。 また本年度は、本剤の歯周ポケット内細菌に対する効果を詳細に検討するため歯周病関連細菌の高感度検出法の開発に着手し、簡便かつ迅速に多数の試料からの検出が可能であるgenomic PCRを応用したPgの高感度検出法を確立した。
|