1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09557156
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大川 昭治 北海道大学, 歯学部, 助手 (40001945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇尾 基宏 北海道大学, 歯学部, 助手 (20242042)
近藤 清一郎 北海道大学, 歯学部, 助教授 (80018431)
亘理 文夫 北海道大学, 歯学部, 教授 (70158682)
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Keywords | チタン / ろう付 / フラックス |
Research Abstract |
本年度は、泥しょう鋳込法を用いて、焼結チタン補綴物の製作を試みる前に、チタンのろう付を研究した。その際、従来の歯科用ろう付フラックスでは、チタンをろう付することはできないので、チタンろう付用フラックスの研究を行った。そして更にフラックスを用いないアルゴンガス中におけるチタンの赤外線加熱ろう付を試みた。 A.AgCl-10%LiF-5%KHF_2系フラックスの研究: AgClを含むフラックスを用いて、チタン母材上にAg析出膜を造り、チタンの酸化を防止する。100%AgCl,90%AgCl-10%LiF,90%AgCl-10%KHF_2,85%AgCl-10%LiF-5%KHF_2,9.1%AgCl-54.5%LiF-36.4%KHF_2を用いたとき、どのようなAg析出膜が生成するか調べ、85%AgCl-10%LiF-5%KHF_2と銀ろう,16K金ろう、50%Ti-30%Ni-20%Cuろうを用い、チタンの抵抗ろう付を行い、ろう付強さを測定した。 (1)すべてのフラックスにおいて、Ag膜が生じたが、均一ではなかった。AgCl単独より混合物において、Ag膜ができやすかった。85%AgCl-10%LiF-5%KHF_2において、最も良好なAg膜が生じた。 (2)チタンのろう付強さ(MPa)は、銀ろうで148.9(±79.3)、16K金ろうで97.4(±27.9)、50%Ti-30%Ni-20%Cuろうで259.4(±105.7)であった。強さに有意差があった(p<0.05)。 (3)ろう付部の金属組織は、チタン母材、フラックス及びろう材との間の複雑な反応のため、多相から成っていた。 B.チタンのろう付強さに及ぼす赤外線加熱時間の影響の研究: 50%Ti-30%Ni-20%Cuろうを用いて、加熱時間を30,50,70秒と変えたときのチタンのろう付強さを測定した。 (1)ろう付強さ(MPa)は、加熱時間30秒で351.8(±40.6)、50秒で357.9(±33.7)、70秒で351.8(±41.37)で、強さに有意差はなかった(p>0.05)。 (2)ろう付部は、ろう材、拡散層及びチタン母材から成っており、間隙に侵入したろう材の組成は、加熱時間とともに変化した。すなわちNiとCuは減少して、Tiは増加した。 (3)ろう付部の破壊は、加熱源から遠い低温部から始まり、ろう材と拡散層との界面に沿って、高温部へと進んだ。 以上のようにチタンろう付用フラックスとチタンの赤外線ろう付について、興味ある幾つかの知見を得ることが出来た。これらの結果をふまえて、平成10年度から、泥しょう鋳込法を用いた焼結チタン補綴物の製作について積極的に研究を行う予定である。
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