1999 Fiscal Year Annual Research Report
骨組織における腫瘍とアポトーシスに関する形態学的・細胞組織科学的研究
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09557164
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中島 民雄 新潟大学, 歯学部, 教授 (10014010)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 将広 新潟大学, 歯学部, 助手 (40313522)
高田 真仁 新潟大学, 歯学部, 助手 (10251828)
新垣 晋 新潟大学, 歯学部, 助教授 (30134943)
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Keywords | 癌骨転移 / 血管 / Bisphosphonate / VEGF / ODF / 破骨細胞 / 微細構造学 |
Research Abstract |
本年度は、MDA231乳癌細胞骨転移動物実験モデルにおいて、血管新生の促進、破骨細胞の分化、誘導および骨吸収を促進する因子の組織化学的検索、さらに骨吸収抑制因子であるBisphosphonate(YM-529)を投与し、破骨細胞数への効果、および血管の増減に対する効果について検索した。その結果、骨転移実験モデルにおいて、Bisphosphonateを単回投与した群では、投与しなかった群に比べ、有意に濃度依存的に破骨細胞数が減少していた。また、血管内皮細胞を特異的に認識するCD31免疫染色を施したところ、腫瘍胞巣内、および骨との境界部において多数の陽性反応を示す血管が局在しており、さらに、強力な血管新生因子の一つであるVEGFが、骨転移巣において破骨細胞の活性化や血管新生などに関与しているかどうか免疫染色を行ったところ、腫瘍細胞に陽性反応が認められた。また、血管数を比較したところ、腫瘍細胞と骨との間に局在する血管は、Bisphosphonate投与群で有意に減少していた。また、微細構造学的に見ると、前駆破骨細胞と間出細胞がダイレクトに細胞接触しているのが観察出来るため、破骨細胞分化因子であるODFの免疫染色を行ったところ、腫瘍周囲に存在する間質細胞に陽性反応がみられ、破骨細胞に接した間質細胞においても陽性反応が見られた。以上のことから、以前の我々の研究成果と合わせ、腫瘍細胞が産生するVEGFなどの因子が、破骨細胞の有するVEGFレセプターを介して破骨細胞の活性化や、血管新生への関与が示唆され、さらに腫瘍細胞が産生するPTHrPなどにより、そのレセプターを有する間質細胞のODFを介して破骨細胞の分化、誘導および活性化に関与していることが示唆された。 以上の結果および関連所見は、第41回歯科基礎医学会、厚生省がん骨転移研究会等で公表し高い評価を受けた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nakajima, T., et al.: "The postoperative maxillary cyst."Oral. Maxillofac. Surg.. 137-147 (1999)
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[Publications] Shingaki, S., et al.: "Impact of Lymph node metastasis on the pattern of treatment failure and survival in oral carcinomas."Oral Oncology.. Vol. 6. 391-394 (1999)
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[Publications] Shingaki, S., et al.: "The impact of extranodal spread of lymph node metastases in patients with oral cancer."Int. J. Oral. Maxillofac. Surg.. in press.
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[Publications] Ito, M., et al.: "Ultrastructural and Cytochemical Studies on Cell Death of Osteoclasts Induced by Bisphosphonate Treatment."Bone. Vol.25. 447-452 (1999)
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[Publications] 伊藤将広: "腫瘍と骨組織"ザ・クインテッセンス. Vol.18. 183-190 (1999)