2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨組織における腫瘍とアポトーシスに関する形態学的・細胞組織化学的研究
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09557164
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
新垣 晋 新潟大学, 歯学部, 助教授 (30134943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 将広 新潟大学, 歯学部, 助手 (40313522)
高田 真仁 新潟大学, 歯学部, 助手 (10251828)
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Keywords | 癌骨転移 / 癌骨浸潤 / 細胞外基質 / 血管 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 / マクロファージ / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト扁平上皮癌において、骨吸収が認められた臨床材料で、癌細胞周囲の細胞および細胞外基質、血管分布と骨吸収との関係について形態学的に検索した。その結果、全てにおいて腫瘍細胞の周囲には間質成分が豊富に存在していた。マッソン・トリクローム染色を施すと、骨吸収部位ではコラーゲン線維は幼若で量的にも乏しく、間質細胞は不規則に並んで活性化されていると考えられた。骨形成部位では基質成分は豊富で、活性化された間質細胞が多数見られた。また、血管を認識するCD31免疫染色により、吸収、形成部位の間質中に多数の血管が見られ、吸収部位において有為に増加していた。次に、ヘパラン硫酸プロテオグ・リカンとテネイシンの免疫染色を行ったところ、どの部位においても腫瘍周囲の間質では陽性反応がみられ、吸収、形成部位においては腫瘍と骨との間の間質においても反応が見られたことから、細胞外基質が細胞接着、成長因子の維持機構、細胞浸潤の促進や細胞増殖などに関与していることが示唆された。さらにカテプシンKの免疫染色を行うと、吸収部位の骨表面と間質中に多数の破骨細胞が出現しており、炎症性細胞浸潤がみられたことから、マクロファージを認識するCD68免疫染色を行ったところ、多数のマクロファージが認められた。以上のことから、腫瘍細胞によって誘導される血管から破骨細胞およびマクロファージを誘導し、間質系細胞の有するM-CSFの存在下において、マクロファージの産生するTNF-αにより破骨細胞分化を促進させ、さらにはマクロファージの産生するIL-1などが破骨細胞の活性化に作用していると考えられる。このように、骨芽細胞、間質細胞の持つCDFを介する経路以外にもマクロファージの誘導を促進し、TNF-αやIL-1などを介する可能性が示唆された。以上の結果および関連所見は、厚生省がん骨転移研究会等で公表し高い評価を受けた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Ito.M., et al.: "Bisphosphonate acts on osteoclasts independent of ruffled borders in osteosclerotic (oc/oc) mice."Bone.. 28(in press). (2001)
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[Publications] 佐藤将広: "Bisphosphonatesの作用機序"THE BONE.. 7(in press). (2001)
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[Publications] Fukushi-Irie.M. et al: "Possible interference between tissue-non-specific alkaline phosphatase with an Arg54→Cys substitution and a counterpart with an Asp277→Ala substitution found in a compound heterozygote associated with severe hypophosphatasia."Biochem.Journal.. 348. 633-642 (2000)
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[Publications] 佐藤将広: "破骨細胞の細胞死"THE BONE.. 14. 3-6 (2000)
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[Publications] 網塚憲生: "骨転移に関わる細胞群"ホルモンと臨床. 7. 585-594 (2000)