1997 Fiscal Year Annual Research Report
苦味受容サイトを選択的にマスクする安全な苦味抑制剤の開発
Project/Area Number |
09557185
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗原 堅三 北海道大学, 薬学部, 教授 (00016114)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂木 能久 花王株式会社, 食品総合研究所, 研究員
庄司 隆行 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (00241349)
柏柳 誠 北海道大学, 薬学部, 助手 (20169436)
松岡 一郎 北海道大学, 薬学部, 助手 (40157269)
|
Keywords | フォスファチジン酸 / ラクトグロブリン / 大豆レシチン / 苦味抑制剤 / 苦味受容サイト / フォスファチジルイノシトール / フォスファチジルセリン / リン脂質 |
Research Abstract |
フォスファチジン酸(PA)とβラクトグロブリン(LG)からなるリポタンパク質(PA-LG)は、生理学的には、理想的な苦味抑制剤であるが、薬物の苦味の抑制剤として実用化するためには、安定性と値段の点で、タンパク質が入っていることが障害となる。そこで、PA単独での苦味抑制剤の効果を調べた。PA単独での苦味抑制剤の効果は、PA-LGより弱いが、PAの濃度を上げれば各種の苦味を抑制することがわかった。つぎに、各種のリン脂質単独での苦味抑制効果を調べた。PAと同じく酸性リン脂質であるフォスファチジルイノシトール(PI)とフォスファチジルセリン(PS)には、PAよりも弱いが苦味抑制効果があった。その他の調べたリン脂質には、苦味抑制効果はなかった。 PAは大豆レシチン中に含まれている。大量なスケールで、簡便な方法で、大豆レシチンからPAを精製する方法を検討した。精製法を検討しているとき、PAを完全に精製しなくても、PAを高含量含んでいれば、充分苦味抑制効果があることに気が付いた。そこで、PAを高含量で含むレシチン分画を得る方法を検討した。この結果、溶媒を用いた分画法でPAを高含量含む画分を得ることができることがわかった。この画分は、各種の薬物の苦味を充分抑制することがわかった。 タンパク質を加水分解したペプチドは、機能性食品として注目されているが、苦味を呈することが難点とされている。この分画はまた、タンパク質加水分解物の苦味も抑制したので、この分野でも応用が可能である。
|
-
[Publications] Y.Katsuragi: "Basic studies for the practical use of bitterness inhibitors:selective inhibition of bitterness by phospholipids." Pharm.Res.14. 720-724 (1997)
-
[Publications] Y.Katsuragi: "Specific inhibitor for bitter taste:inhibition of frog taste nerve responses and human taste sensation to bitter stimuli" Brain.Res.Protocols.1. 292-298 (1997)
-
[Publications] Y.Katsuragi: "Nodifying Bitterness:Mechanism,Ingredients,and Applications" Technomic Pub.Co.Inc., 332 (1997)