1998 Fiscal Year Annual Research Report
変異型受容体を用いた段階的分子モデリングによるorphan受容体リガンドデザイン
Project/Area Number |
09557193
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 公道 京都大学, 薬学研究科, 教授 (80025709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 貴之 京都大学, 薬学研究科, 助手 (30303845)
長瀬 博 東レ株式会社, 基礎研究所・創薬研究室, 室長
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Keywords | nociceptin受容体 / nociceptin / オピオイド受容体 / [Phe^1 Ψ (CH_2-NH) Gly^2] nociceptin (1-13) NH_2 / アゴニスト / アンタゴニスト / 鎮痛薬 / 行動薬理学 |
Research Abstract |
これまでorphan受容体とされていたnociceptin受容体は、近年その内在性ペプチドリガンドが同定されるに至ったが、未だに選択的なアンタゴニストは得られておらず、その生体内での役割は未だに明らかにされていない。すでに前年度の研究により、nociceptin受容体アンタゴニスト創製のためのリード化合物となりうる数種のリガンドを見いだしている。本研究では、最近nociceptin受容体選択的アンタゴニストとして報告された[Phe^1Ψ(CH_2-NH)Gly^2]nociceptin(1-13)NH_2([F/G]NC(1-13)NH_2)の作用解析を行った。昨年度樹立したnociceptin受容体を安定的に発現するCHO細胞において、nociceptinはKi値0.35±0.09nM、[F/G]NC(1-13)NH_2はKi値5.9±1.4nMの結合能を示した。また、nociceptinはforskolin誘発cAMP蓄積を最大抑制率74.6%で抑制し、そのIC_<50>値は0.18±0.04nMであった。一方、[F/G]NC(1-13)NH_2は最大抑制率43%で抑制し、そのIC_<50>値は15.2±5,1nMであった。また、10nM nociceptinによるcAMP蓄積抑制効果に対して、[F/G]NC(1-13)NH_2は有意な拮抗作用を示した。一方、nociceptinおよび[F/G]NC(1-13)NH_2をマウスヘi.t.投与することにより顕著な嫌悪行動が惹起され、その最大効果はそれぞれ、3amolおよび0.3fmolで得られた。また、nociceptin 3 amolによる嫌悪行動惹起作用は[F/G]NC(1-13)NH_2 3 fmolの同時投与によって有意に減弱された。次に、ホルマリンの後肢皮下投与により誘発される嫌悪反応に対する両ペプチドの作用を解析した。Nociceptinあるいは[F/G]NC(1-13)NH_2をi.t.投与すると1%-20μlのホルマリンによって誘発される嫌悪反応は共に、3nmolによって第1相、第2相共に抑制された。また、0.5%-15μlのホルマリンによって誘発される嫌悪反応はnociceptin(3amol、0.3fmol)および[F/G]NC(1-13)NH_2(0.3fmol)のi.t.投与により、第2相のみが有意に増強された。これらの結果から、本アナログは明らかにアゴニスト活性も有しており、nociceptinによる生体機能調節機構を解明するためには、純粋なアンタゴニスト、特に非ペプチド性のアンタゴニストの創製が必須であると考えられる。前年度の研究により、nociceptin受容体に対する非ペプチド性リガンドを合理的にデザインする基礎的知見として、すでにオピオイド受容体/nociceptin受容体間識別の分子機構に関する知見を得ている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nakagawa,T.et al.: "Intracerebroventricular administration of nocistatin reduces inflammatory hyperalgesia in rats" Neurosci.Lett.(in press).
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[Publications] Seki,T.et al.: "Bremazocine recognizes the difference in four amino acid residues to discriminate between a nociceptin receptor and opioid receptors." Eur.J.Pharmacol.350. 301-306 (1998)
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[Publications] Yamamoto,J.et al.: "A hyperalgesic effect of intracerebroventricular cytokine-induced neutrophil chemoattractant-1 in the rat paw pressure test" Eur.J.Pharmacol.363. 131-133 (1998)