1998 Fiscal Year Annual Research Report
致死的不整脈原因遺伝子の発現系の確立とその抗不整脈薬開発への応用
Project/Area Number |
09557210
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
石井 邦明 山形大学, 医学部, 助教授 (10184459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 幸雄 山形県立保健医療短期大学, 助教授 (10250945)
遠藤 政夫 山形大学, 医学部, 教授 (40004668)
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Keywords | 遅延整流型K^+電流 / 抗不整脈薬 / 点変異 / Herg / 脱活性化 |
Research Abstract |
致死的不整脈を引き起こすヒトQT延長症候群の原因チャネルである遅延整流型K^+チャネル(特に第3群抗不整脈薬の作用対象であるHerg)に関して研究を行った。1.卵母細胞の発現系を用いて、これまでにHerg電流に対する各種抗不整脈薬の作用について調ベてきたが、薬物とチャネルとの相互作用についての情報を得るために、変異体の作製とそれらに対する薬物の影響についてさらに検討を進めた。ヒトの電位依存性K^+チャネルにおける薬物の結合部位に関しては、hKvl.5の第6膜貫通領域(S6)のアミノ酸(505番目)が第1群薬キニジンの結合に大きく関与しているとの報告がなされていた。そこでHergチャネルにおいても同じ領域のアミノ酸が薬物の結合に関与しているかどうかを、キニジンについてまず検討した。それによって、Hergチャネルにおいては一次配列上相当する部位のアミノ酸はキニジンの結合にそれ程大きな影響は与えず、むしろ少しN末端側のアミノ酸の変異がより大きな影響を持つと言うことが明らかになった。同じ変異体はキニジンばかりでなく、第3群薬のdofetilide、E4031などの結合にも影響を与えたが、その機序は異なっているようであった。2.Herg電流が活動電位幅の決定に関与する上での重要な性質として、非常に速い不活性化と遅い脱活性化がある。このうち脱活性化に関して上の変異体を流れる電流は野生型Herg電流よりもさらに遅いキネティクスを示し、S6領域がその点でも生理的に重要な役割をしていることが明らかになった。3.これまで調べた代表的な薬物のHerg電流に対する作用は、ネイティブな心筋のIkr(遅延整流型K^+電流の速く活性化するコンポーネント)に対する作用と定性的には同じであるので、Hergチャネルを用いた薬物の評価は有用であると考えられる。また、β受容体との共発現系に関しては受容体のクローン化に難航したため、残された課題であるが、これから検討を加えていく。
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[Publications] Clement-Chomienne, O.: "Identification, Cloning, and expression of rabbit vascular smooth muscle Kv1.5 and comparison with native delayed rectifier K^+ current" J.Physiol.in press. (1999)
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[Publications] Yang, H.T.: "Role of Na^+/Ca^<2+> exchange in endotheline-induced increases in Ca^<2+> transient and contractility in rabbit ventricular myocytes. Pharmacological analysis with KB-R7943" Br.J.Pharmacol.in press. (1999)
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[Publications] Maruya, J.: "Differential regulation of intracellular Ca^<2+> signalling induced by high K^+ and endotheline-1 in single smooth muscle cells of intact canine basilar artery-Detection by means of contolol laser microscopy" Life Sci.64. 995-1004 (1999)
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[Publications] Kuniaki Ishii: "Corrent Topics in Membranes, vol 46 ed.by Y.Kurachi" Academic Press (in press), (1999)