1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい長寿命系痴呆モデルマウスの有用性と創薬への応用
Project/Area Number |
09557212
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
宮本 篤 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50166196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鹿 英世 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50045358)
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Keywords | 老化 / 細胞情報伝達 / 学習・記憶障害 / マウス / GABA_A受容体 / ニューロステロイド / 膜流動性 / 受動的回避試験 |
Research Abstract |
神経系に直接作用するステロイドをニューロステロイド(ニューロアクティブステロイド)と呼び、従来のステロイドホルモンと別のカテゴリーとして取り扱われる様になっている。ニューロステロイドをコレステロールから合成する酵素の存在が脳内グリア細胞に、また末梢からのプロゲステロンを代謝する酵素がグリア細胞と一部の神経細胞に存在する事が報告されており、中枢の神経系活動調節におけるニューロステロイドの役割が注目されている。一方、学習・記憶障害モデルは、抗痴呆薬を開発・研究するために最も重要なウェイトを占める。これまで若齢あるいは成熟動物を用いた種々の学習・記憶障害動物が作成され抗痴呆薬の開発・研究に応用されているが、より臨床像に近いモデルとしての老齢動物を用いた評価が要求されている。これらの現状を踏まえ、比較的長命な生理的老化マウス(C57BL/6J)の学習・記憶障害の程度と生体膜老化に伴う情報伝達機構破綻との関連に焦点をあて、ニューロステロイドの効果を検討した。受動的回避試験により、比較的長命な生理的老化 C57BL/6Jマウスでの被ショック体験は、1)成熟マウスで高く保存されていること、2)記憶保持率は加齢と共に低下する事、3)老齢マウスにおける記憶保持:記憶消失の割合はほぼ5:5である事から、これらC57BL/6Jマウスが老年期痴呆解明のモデルとしてばかりでなく痴呆関連治療薬の研究・開発に有用である可能性が示唆された。ニューロステロイドとしてのデハイドロエピアンドロステロン(DHEAS)あるいはプレグネノロン(PS)は、受動的回避試験において老化に伴う記憶障害を共に改善したが、PS投与群での改善作用の方が顕著であった。これまでニューロステロイドは、GABA_A受容体・Cl^-チャネルの開口頻度の増加と開口時間の延長を引き起こすばかりでなく、NMDA受容体・Ca^<2+>チャネル電流をμM濃度で抑制すること、nM濃度で百日咳毒素感受性G蛋白質連関機構を介して電位依存性Ca^<2+>チャネルを抑制することなどが報告されている。またニューロステロイドの行動に対する効果としては、催眠・麻酔作用、抗痙攣作用ならびに記憶保持作用などが知られている。ヒト・サル・マウス血漿DHEASレベルは加齢とともに著しく減少することは周知の事実であるが、このメカニズムはよくわかっていない。これらの事実からニューロステロイドは中枢神経系において種々の神経情報伝達を調節している可能性があり、老化に伴う情報伝達機構破綻と記憶障害との関連について今後検討すべき課題であると思われる。
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[Publications] Miyamoto,Atsushi: "Molecular diversity and double regulatory mechanism of activation of phospholipase C in rat brain." Life Sci.62. 1549-1553 (1998)
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[Publications] Nishikawa,Satoshi: "Mechanisms of ET-1 release from endothelial cells in pregnancy-induced ypertension." J.Cardiovasc.Pharmacol.31. S528-S530 (1998)
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[Publications] Yamamoto,Shuji: "Role of nitric oxide production through M2-cholinergic receptors in cultured rat ventricular myocytes." Biochem.Biophys.Res.Commun.251. 791-795 (1998)
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[Publications] Yamamoto,Shuji: "Role of nitric oxide production in carbachol-induced negative chronotropy in cultured rat ventricular myocytes." Eur.J.Pharmacol.366. 111-118 (1999)
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[Publications] Yamamoto,Shuji: "Propofol-induced depression of cultured rat ventricular myocytes is related to the M2-acetylcholine receptor-NO-cGMP signaling pathway" Anesthesiology. (in press)
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[Publications] 宮本 篤: "培養心筋細胞の薬理学研究への応用" 組織培養研究. 17. 67-71 (1998)
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[Publications] 宮本 篤: "神経行動薬理学研究の最前線-抗痴呆薬研究の最近の進歩-" J.R.Prous(Spain), 7 (1997)