1999 Fiscal Year Annual Research Report
精神分裂病の発症を規定する脳内蛋白質の探索とその治療領域への応用
Project/Area Number |
09557214
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米田 幸雄 金沢大学, 薬学部, 教授 (50094454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻田 喜代一 摂南大学, 薬学部, 講師 (90169219)
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Keywords | 精神分裂病 / 陰性症状 / NMDAレセプター / 転写制御因子 / DNA統合能 / 海馬 / 歯状回顆粒細胞 / C・FOS蛋白質 |
Research Abstract |
薬物療法低反応性の精神分裂病陰性型(2型)の発症に、脳内 N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)型レセプターの異常な活性低下が関与する可能性を追究する目的で、脳内における遺伝子転写調節に着目した。転写制御因子は、細胞核内で遺伝子DNAからmRNAへの転写を制御する核内蛋白質である。実験動物にNMDAを全身的に適用すると、転写制御因子activator protein-1(AP1)のDNA結合能が、脳内各部位の中でも特に海馬において選択的に増強された。実体顕微鏡下における凍結脳切片からのパンチアウト法を用いて解析したところ、AP1結合増強は海馬の歯状回顆粒細胞層においては強く認められたが、CAI野およびCA3野錐体細胞ではこのような増強は見られないことが明らかとなった。歯状回におけるAPI結合上昇は、投与後2時間をピークとする一過性の現象であり、投与後4時間目にはほぼ消失したが、錐体細胞層ではいずれの経過時間でも、著明なAP1結合上昇は観察されなかった。NMDAアンタゴニストを前投与すると、NMDAによる歯状回AP1結合増強は完全に阻止された。免疫組織化学的検討により、NMDA投与は歯状回顆粒細胞層においてのみ、選択的にc-Fosおよびc-Jun蛋白質を強く発現する事実が判明した。また、NMDAを全身適用すると、その後動物は「tail biting」のような異常行動を示した。以上の結果より、精神分裂病のような脳機能長期的変化の出現メカニズムには、特定機能蛋白質の生合成変動が、深く関連する可能性が示唆される。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kiyokazu Ogita: "Differential inhibition by ferrous ions of [^3H]MK-801 binding to native N-methy-P-aspartate・・・・・"Brain Research. 818. 548-552 (1999)
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[Publications] Kiyokazu Ogita: "Preventive effects of exogenous phospholipases on inhibition by ferrous ions of [^3H]MK-801・・・・・・"Neurochemistry International. 34. 193-201 (1999)
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[Publications] Yasutaka Azuma: "Constitutive expression of cytoplasmic activator protein-1 with DNA binding activity・・・・・・"Neuroscience. 92. 1295-1308 (1999)
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[Publications] Yukio Yoneda: "Predominant expression of nuclear activator protein-1 complex with DNA binding・・・・・・"Neuroscience. 93. 19-31 (1999)