1997 Fiscal Year Annual Research Report
質量分析によるグリコヘモグロビンの標準定量法の確立と実用化
Project/Area Number |
09557220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
清水 章 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00028581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 雅之 (株)京都第一科学, 基盤技術研究所, 研究所員
岸川 匡彦 大阪医科大学, 医学部, 助手 (40268199)
中西 豊文 大阪医科大学, 医学部, 講師 (10247843)
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Keywords | HbA1c / 糖尿病 / HPLC / 方法間誤差 / 質量分析 / ESI / MS / β鎖糖化成分 / カルバミルHb |
Research Abstract |
HbA1cは糖尿病コントロールのマーカーとして近年重要度が増している。しかし測定法にはHPLC、アフィニティカラムクロマトグラフィー、糖化部分に対する特異抗体を用いる免疫法など多種類あり、方法間で測定値にかなり大きい差が認められている。方法間誤差を少なくするための標準物質を質量分析によって調べた所、変性したHbを5〜10%含んでいた。われわれはエレクトロスプレー質量分析(ESI/MS)によって溶血液を分析し、β鎖の非糖化成分と糖化成分の比を求めた。再現性は3%以下であり、従来法との相関は0.990、分析時間は1検体あたり3分であった。多数例について通常のイオン交換HPLCによるHbA1c値とESI/MSによる糖化非糖化β鎖の比率の相関を見ると、通常のサンプルはほぼ直線上に並んでおり、上記のように相関は良い。異常Hbを含む検体は大きく回帰直線よりずれており、異常Hbの種類によって通常のHPLCによるHbA1c値の方が低い場合が多い。血中尿素高値例(BUN>50mg/dl,creatinine>2.5mg/dl)ではHPLCによるHbA1c値が高い傾向にある。尿素より生じたシアン酸が反応し、カルバミルHbに変化し、HPLCのHbA1cピークに一部重なるためである。一方抗体法ではβ鎖N末に異常のあるHb Niigataで低値を示している。このように質量分析は従来の測定法をモニターする目的に必須の手段であり、標準法として完成すべき分析法である。次年度に向けさらに検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Toyofumi Nakanishi, et al: "Quantification of glycated hemoglobin by electrospray ionization mass spectrometry." Journal of Mass Spectrometry. 32. 773-778 (1997)
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[Publications] 中西 豊文, 他: "ESIMSによる糖化Hbの定量分析" 臨床検査. 42・3. 340-343 (1998)