1998 Fiscal Year Annual Research Report
数値流体力学的アプローチによる地震災害解析システムの開発
Project/Area Number |
09558049
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
河村 哲也 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 教授 (40143383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩津 玲磨 東京電機大学, 工学部, 助教授
佐藤 浩史 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 教授 (10017197)
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Keywords | 熱対流 / 低マッハ数近似 / 火災旋風 / 数値シミュレーション / コンピュータグラフィックス / 渦崩壊 / 地震波の伝播 / 自由表面 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、大地震の際に発生する危険がある広域火災によって誘起される流れについて重点的に調べた。このような複雑な流れを解析する上で流れの可視化が重要な意味をもつ。そこで本年度はコンピュータグラフィックスによる計算結果の可視化にも重点をおいた。さらに当初の目的のひとつである不整地形における地震波の伝播のシミュレーションを行う第一段階として、簡単なモデルによるテスト計算も行った。 火災によって誘起される流れは温度差が大きいため、熱流体解析で通常用いられるブジネスク近似は適用できない。そこで、まず低速の圧縮性流れの解析に用いられる低マッハ数近似の応用を考え、高温熱源による2次元流れに関して基本的な計算法のチェックを行った(菅、河村、岩津:機論B)。つぎに3次元流れに対して低マッハ数近似と類似の計算法を提案し、正方形および逆L字型高温熱源による流れのシミュレーションをコリオリ力を考慮して行った。後者は関東大震災でおこった被服廠跡地の惨事の簡単なモデルになっている。このとき種々の物理量を用いた流れの可視化に重点をおいた。その結果、火災旋風を引き起こす竜巻が複雑に熱源近くを移動するほか、このような大きなスケールの渦現象においては渦崩壊現象がおこることが明らかになった(小紫、河村:)。 多くの都市は、軟らかい沖積層の上にある。この沖積層は固い岩盤の上にあるため、地震が起こった場合の沖積層表面の揺れは、容器のなかに入れた粘性流体の運動を解析すればある程度予測可能と考えられる。そこでまず種々の断面形状をもった容器内の水波の挙動の2次元数値シミュレーションを行った。特に、阪神淡路大震災やロマプリータ地震の場合に似た岩盤形状の容器を考えてスト計算を行ったところ被害多発地区に対応する場所での波の振幅が大きくなることが明らかになった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 菅 牧子: "低マッハ数近似による熱対流の数値シミュレーション" 日本機械学会論文集(B編). 65. 108-115 (1999)
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[Publications] 小紫 誠子: "火災旋風における渦崩壊" 第48回理論応用力学講演会講演論文集. 61-62 (1999)
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[Publications] 古屋久美子: "変形容器内の水波の挙動の数値シミュレーション" 第11回数値流体学シンポジウム講演論文集. 249-250 (1998)
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[Publications] 小紫 誠子: "火災旋風をモデルとした数値計算とその可視化" Computer Visualization Symposium'98 論文集. 33-36 (1998)
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[Publications] 菅 牧子: "Numerical Simulation of Thermal Plume Solrer" Preprints 16th International Conference on Numerical Method in Fluid Dynamics. 265-266
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[Publications] 河村哲也: "環境シミュレーションにおける2,3の話題" 京都大学数理解析研究所講究録「複雑流体の数理」. (印刷中).
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[Publications] 河村哲也: "応用偏微分方程式" 共立出版株式会社, 218 (1998)
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[Publications] 河村哲也: "環境科学入門" インデックス出版, 128 (1998)