1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09558056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 伊佐務 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20005987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 裕次 (株)日立製作所, 基礎研究所, 研究員
永田 晋二 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40208012)
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Keywords | 全反射PIXE / X線干渉 |
Research Abstract |
破壊しやすい無機試料を使用した前年度の実験では、全反射入射のプロトンビームで全く試料は破壊されず、繰り返した実験でも全く変化のない干渉縞が得られた。一方、垂直入射では2回目からは干渉縞を得ることがでず試料が破壊されてしまった。また、全反射入射の方のS/Nが1桁程度良いことも判明した。 今年度はより破壊しやすい生体高分子試料を使用し、基盤を液体窒素で冷却してその効果を検証した。シランカップリング処理したCr基板上に抗原(アポフェリチン)をペプチド結合させ、これに抗体を吸着させた。抗体のS-S結合の位置を検出するため、全反射PIXEで放出されるイオウ(S)の特性X線の取り出し角分布を測定した。試料基盤の温度を-30℃に保ちSのX線取り出し角測定を行った結果、3つの測定値(全膜厚、Sのピーク位置、Sの分布幅)は再現性よく得ることができたが、+10℃では1回目の測定値が1.5nm,2.6nm,1.2nmそれぞれ大きくなり、2回目、3回目とより大きくなる傾向は変わらなかった。すなわち、-30℃では生体高分子膜の非破壊計測が可能であり、+10℃では試料が徐々に破壊されることが示された。 さらに、トンネル接合巨大磁気抵抗(TMR)素子の温度変化を調べた。TMRは強磁性体の間に薄い絶縁体を挟んだ形態をもち、熱拡散等によって絶縁が破られると効果がなくなるとされている。TMRを模して、Co(10nm)/Al_2O_3(1.5nm)/Fe(100nm)多層膜をSi基板上に作製し、100〜600℃で熱処理した。その結果AlのX線取り出し角分布は約400℃付近から変化があった。これは抵抗測定の結果とよく一致している。 以上のように、全反射PIXEを応用した本法は、特に軽元素に対して高感度であること、破壊しやすい生体膜の構造解析にも応用できること等、優れた特徴があることが判った。
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