1997 Fiscal Year Annual Research Report
異生物種ハイブリット細胞を用いたトリチウム遺伝的影響評価法の開発
Project/Area Number |
09558064
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小松 賢志 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80124577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田内 広 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70216597)
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (90274133)
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Keywords | トリチウム / 染色体移入 / hprt遺伝子 / 放射線感受性 / ヒトX染色体 / ハイブリット細胞 / 遺伝的影響 / ホルミ-シス効果 |
Research Abstract |
hprt遺伝子はX染色体上に位置する遺伝子で、その欠損突然変異は、6-チオグアニン(6-TG)耐性による突然変異体の選択とHAT感受性による変異体の確認が可能であり、なおかつ遺伝子の構造、配列も明らかであるため、従来より放射線による突然変異検出系として広く用いられてきた。しかしながら、これまでのげっ歯類やヒトの培養細胞株を用いた実験系では、その細胞が元来持っているhprt遺伝子の変異を指標としているため、放射線によりhprt遺伝子を含む大きな領域に欠失を持つような変異が起こったとされた場合には、近傍の複数の遺伝子の障害から細胞は致死となって突然変異としては検出されなくなることが予想される。そこで我々はhprt欠損のハムスター細胞に正常ヒトX染色体を移入してhprt活性を回復させた細胞を用いることで、hprtをはじめとしたヒトX染色体上の全ての遺伝子の突然変異を細胞の生死から切り放し、従来は検出されなかったような大きな変異をも検出可能にして、放射線に対して高感度に反応する突然変異検出系の構造を目指している。本研究では正常ヒトX染色体を1本だけ含むハムスター細胞から6-チオグアニン耐性の自然発生突然変異率が低いクローンを選択し、HAT培地中で維持継代した。この細胞を用いて^<60>Coγ線照射およびトリチウム水暴露によるhprt欠損突然変異の誘発を調べた結果、従来のハムスターやマウス細胞を用いた場合と比べて放射線誘発突然変異頻度が数100倍高くなることが明らかとなり非常に高感度の検出系であることを確認された。一方、この実験系を用いて算出されたトリチウム水のRBEは従来と同じ1.2であり、感度の高さがRBEに影響することはなかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsuura,K.: "Radiation induction of p53 in cells from Nijmegen breakage syndrome is defective but not similar to ataxia-telangiectasia." Biochem.Biophys.Res.Commun.242. 602-607 (1998)
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[Publications] Imai,H.: "Minisatellite instability in severe combined immunodeficiency mouse cells." Proc.Natl.Acad.Sci.USA.94. 10817-10820 (1997)
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[Publications] Komatsu,K.: "Radiation induction of p53 in cells from Nijmegen Breakage Syndrome and functional mapping of the underlying gene at 8q21." Disease Markers.(in press). (1998)
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[Publications] Shoji,S.: "Developmental malformations and intrauterin deateh in γ-ray-irradiated scid mice embryos." Int.Rad.Biol.(in press). (1998)
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[Publications] Matsuura,S.: "Genetic mapping using microcell-mediated chromosome transfer suggests a locus for Nijmegen Breakage Syndrome at chromosome 8q21-24." Am.J.Hum.Genet.60. 1487-1494 (1997)
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[Publications] 松浦伸也: "高発癌性遺伝病-ナイミ-ヘン染色体不安定症候群." 医学のあゆみ. 180. 760-761 (1997)