1998 Fiscal Year Annual Research Report
異生物種ハイブリット細胞を用いたトリチウム遺伝的影響評価法の開発
Project/Area Number |
09558064
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小松 賢志 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80124577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田内 広 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (70216597)
松浦 伸也 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (90274133)
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Keywords | ハイブリッド細胞 / ヒトX染色体 / 6-チオグアニン / 電離放射線 / HPRT / トリチウム / Cu炭素粒子線 / 遺伝子突然変異 |
Research Abstract |
ヒト染色体移入ハムスターハイブリット細胞の HPRT 欠損突然変異実験系を確立するために、まずexpression time と突然変異感受性の検討を行った。その結果、4Gyのγ線を照射した際のHPRT欠損突然変異頻度は、照射後4日目から上昇し始め照射後8〜10日で最大となった。γ線で誘発される突然変異頻度は、従来用いられてきたようなハムスターやヒト細胞の内在性のX染色体上にあるhprt変異を対象とした実験系では10^5生存細胞当たり5〜50であるのに対し、本実験系では10^5生存細胞当たり450と従来の系より10〜100倍高い値を示し、本実験系が高感度検出系として機能する可能性が高いことが明らかとなった。誘発された突然変異細胞のいくつかをFISHにより解析したところ、全ての細胞でほぼ全長あるいはやや断片化したヒトX染色体が存在している事が確認され、高頻度の突然変異誘発がヒトX染色体そのものの欠落によるものではないことが確認された。この細胞を用いて^<60>Co γ線照射およびトリチウム水暴露によるHPRT欠損突然変異の誘発の線量依存性を調べた結果、誘発突然変異頻度は6Gyまでの範囲でほぼ直線的に増加し顕著な線量効果関係が認められた。その頻度は従来の検出系の約100倍であり、あらためて高感度であることが確認された。本検出系により求められたトリチウムβ線のRBEは1.24となりこれまでに報告されている値とほぼ一致した。また、Carbon13keV/μ mおよび80keV/μ m放射線のRBEそれぞれ1.5〜3と高LET放射線でも有用であることが明らかとなった。Heiらはハムスター細胞へのヒト11番染色体移入によるS1突然変異高感度検出系の作製とそれを利用したα線誘発突然変異の解析を報告しているが、対象となったS1マーカーはその全構造が明らかでないために、S1変異そのものを解析することは出来ないのが現状である。これに対し我々が作製した実験系は非常に良く解析されているヒトhprtを対象としており、遺伝子そのものの変異を含めて解析が可能であり、今後の発展性が期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Matsuura, et.al.: "Positional cloning of the gene for Nijmegen breakage syndrome" Nature Genet.19. 179-181 (1998)
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[Publications] K.M.Cerosaletti,et.al.: "Fine Localization of the Nijmegen Breakage Syndrome Gene to 8q21:Evidence for a Common Founder Haplotype" Am.J.Hum.Genet.63. 125-134 (1998)
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[Publications] K.Matsuura,et.al.: "Radiation induction of p53 in cells from Nijmegen breakage syndrome is defective but not similar to ataxia-telangiectasia" Biochem.Biophys.Res.Commun.242. 602-607 (1998)
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[Publications] S.Shoji,et.al.: "Developmental malformations and intrauterine deaths in γ-ray-irradiated scid mouse embryos" Int.J.Radiat.Biol.73. 705-709 (1998)
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[Publications] A.Nakamura,et.al.: "Four novel mutations of the Fanconi anemia group A gene(FAA)in japanese patients" J.Hum.Genet.44. 48-51 (1999)
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[Publications] H.Tauchi,et.al.: "Sequence analysis of an 800-kb genomic DNA region on chromosome 8q21 that contains the Nijmegen breakage syndrome gene,NBSI" Genomics. 55. 242-247 (1999)