1997 Fiscal Year Annual Research Report
微生物に対する親和性を付与することによる生物分解合成高分子の開発
Project/Area Number |
09558077
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
川端 成彬 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (70025998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 博之 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (20263171)
伊倉 宏司 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (00101246)
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Keywords | ポリスチレン / N-ベンジル-4-ビニルピリジニウムクロリド / アクリル酸メチル / 生分解性 / 活性汚泥 |
Research Abstract |
少量のN-ベンジル-4-ビニルピリジニウムクロリドを主鎖に導入するとポリメタクリル酸メチルが生分解性を示すことを以前に報告した。様々な合成高分子に対して化学構造の一部を修飾することによって生分解性を付与する一般的な手法に発展させる目的で,ポリスチレンに適用することを試みた。主鎖に10モル%のN-ベンジル-4-ビニルピリジニウムクロリドを導入し活性汚泥法曝気槽に浸漬しても生分解性は全く認められなかった。この結果はポリスチレンの疎水性が強すぎるためではないかと考えられた。そこで単純にピリジニウム基を主鎖に導入するのではなく,親水性の強いグループと一緒に主鎖に導入するという新たな試みを行った。すなわち,15-19モル%のアクリル酸メチルを加えて親水性を持たせた上で少量のN-ベンジル-4-ビニルピリジニウムクロリドを導入すると,下水処理場の活性汚泥法曝気槽に浸漬することによって分子量の低下と重量の減少することが観察された。このピリジニウム基を含まないスチレンとアクリル酸メチルの共重合体は生分解性を全く示さなかったから,生分解性を付与するためには主鎖に少量のN-ベンジル-4-ビニルピリジニウムクロリドを導入することは必要不可欠である。これらの結果から,合成高分子に生分解性を付与するためには,主鎖へのピリジニウム基の導入だけではなく,疎水性を和らげる事も必要であると結論された。この研究成果は,京都工芸繊維大学の工芸学部紀要に審査付き論文として掲載された。
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Research Products
(1 results)