三重鎖DNA形成のメカニズムとアンチセンスとしての応用

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09558090
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: The Institute of Physical and Chemical Research
• Principal Investigator: 皿井 明倫 理化学研究所, ジーンバンク室, 副主任研究員 (20221286)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 神藤 平三郎 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (80138966) ; PICHIERRI Fa 理化学研究所, ジーンバンク室, 訪問研究員 ; 鳥越 秀峰 理化学研究所, ジーンバンク室, 研究員 (80227678) ; 横山 一成 理化学研究所, ジーンバンク室, 副主任研究員 (80182707)
• Keywords: 三重鎖DNA / アンチセンス / 熱力学

Research Abstract

三重鎖の安定性と配列特異性に対する核酸の化学修飾の効果を調べるため、まず、バックボーン及び塩基に対する種々の化学修飾を施した修飾核酸を合成、精製した。これらの核酸を用いて、これまでに我々が三重鎖形成の研究に新たに開拓したフィルター結合法やカロリメトリー法などの方法を用いて、三重鎖形成の熱力学量(結合の自由エネルギー、エントロピー、エンタルピー、熱容量変化など)及び速度定数(会合速度定数、解離速度定数)を測定した。この結果、核酸バックボーンに対するある種の化学修飾、特に、phosphorothioation、が三重鎖形成の熱力学定数及び速度定数に大きな影響を与えることがわかった。これらの結果を分子レベルで解釈するため、核酸のさまざまな性質と化学修飾の効果を計算機シミュレーションにより解析した。X線解析により得られている核酸の構造をもとに計算機上でいくつかの化学修飾を導入した構造を作成し、量子化学計算により電荷分布や構造変化、それに伴うエネルギーなどの評価を行った。その結果、ある種の化学修飾により電荷分布が大きな影響を受けることがわかった。現在、構造変化の精密な計算を行っているが、これらの化学修飾により核酸のバックボーンの構造や柔軟性などの性質が大きく変化することが予想される。今後、これらの点を明らかにするため、さらにくわしい実験的理論的解析をすすめ、化学修飾が三重鎖形成にどのように影響を与えているかを詳しく解析する。