1997 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質電子線結晶構造解析用プログラムシステムの開発
Project/Area Number |
09558092
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木寺 詔紀 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00186280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 照久 松下電器産業株式会社, 国際研究所, シニアリサーチアシスタント (10450412)
石田 征久 日本電子株式会社, 電子工学機器技術本部, 本部長
光岡 薫 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手
藤吉 好則 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80142298)
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Keywords | 電子線結晶構造解析 / 電子線回折 / 電子顕微鏡 / ソフトウェアー / バクテリオロドプシン / 原子散乱因子 / 精密化 / タンパク質 |
Research Abstract |
本年度は、現状のソフトウェアーのレベルで可能な精密化の手法を、3A分解能のbacteriorhodopsinの実験データに適用した。手法としては、疑似3次元化したモデルをXPLORによって、Cartesian Coordinatesを変数とした精密化を行うという方法である。さらに、低分子解能での電子散乱因子が荷電状態に大きく依存することを表現するために、原子散乱因子を荷電状態に依存するように変更したモデルを採用した。 実験データは、回析強度は電子線回析像から、位相は電子顕微鏡像から得た。精密化されたモデル(R-factor=24.0%、Free R-factor=33.4%)は、ヘリックス構造の乱れまでを精密に表現している。乱れのある部分が、光の吸収で最初の構造変化があると言われている、ヘリックスとretinal色素の接触部位に見られていることは示唆的である。荷電状態に関しては、異なった原子散乱因子によるマップを比較することによって、すべての酸性側鎖の荷電状態を決定することに成功した。その結果、光受容サイクルの基底状態は、Asp96、Asp115、Asp204が非解離状態にあることが確認された。さらに、陽イオンと水分子も特定することができた。このようにして特定されたヘリックス構造の乱れ、酸性側鎖の荷電状態、更に水分子の位置に基づいて、光受容サイクルにおける構造変化のモデルを提案することができた。 以上の精密化により、現状の方法論の問題点が明らかになり、研究の方向性をはっきりと決めることができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Kimura: "Membrane surface structure and proton pathway of bacteriorhodopsin analyzed by electron crystallography" Nature. 389. 206-211 (1997)
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[Publications] Y.Kimura: "High resolution structure of bacteriorhodopsin determined by electron crystallography" Photochemistry and Photobiology. 66. 407-412 (1997)