1998 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質電子線結晶構造解析洋プログラムシステムの開発
Project/Area Number |
09558092
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木寺 詔紀 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00186280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 照久 松下電器産業株式会社, 国際研究所, シニアリサーチアシスタント (10450412)
石田 征久 日本電子株式会社, 電子工学機器技術本部, 本部長
光岡 薫 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60301230)
藤吉 好則 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80142298)
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Keywords | 電子線結晶構造解析 / 電子線回折 / 電子顕微鏡 / ソフトウェアー / バクテリオロドプシン / 原子散乱因子 / 精密化 / タンパク質 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に引続き、現状のソフトウェアーのレベルで可能な精密化の手法を、3Å分解能のbacteriorhodopsin(bR)の実験データに適用した。注目したことは、原子の荷電状態を電子線回折実験から決定したことである。これは、電子線散乱因子が低角側で大きく荷電状態に依存することを利用している。bRと8本の脂質分子をモデルに入れ精密化を行い、R因子24%、freeR因子33.4%を達成した。荷電状態を評価するために、我々はFo-Fc mapを計算した。Fo-Fc mapでは、αヘヘリックスを形成している主鎖アミドに極めて強いシグナルを観測した。これは、水素結合によってアミドの荷電状態が変化したことが観測されているものと解釈される。実際、カルボニル基に0.5の部分電荷を仮定するとR因子もfreeR因子も0.5%程度の改善を見た。さらに、正に荷電した原子の周辺に強いシグナルを観測した。Asp36とAsp102は従来非解離状態にあるといわれてきたが、今回の解析で解離状態にあり、近傍に静電荷の対イオンがあることが推測された。このような荷電状態を統一的に論ずるための定量的な指標を提案した。以上の研究から、電子線結晶構造解析から荷電状態の情報を取り出せることが確認された。実際には、高分解能データのみから(荷電状態に影響されない)モデルを構築し、そこに低分解能データを取り込むことで荷電状態の情報を得るという方法をとることとなる。
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Research Products
(1 results)