精密原子間距離測定に基づく膜生体分子三次元構造解析システムの開発

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 09558094
• Research Institution: Himeji Institute of Technology
• Principal Investigator: 内藤 晶 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (80172245)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 藤戸 輝昭 日本電子データム, AI技術部, 課長 ; 相田 美砂子 国立がんセンター研究所, 研究員 (90175159) ; 辻 暁 姫路工業大学, 理学部, 助手 (60227387) ; 斉藤 肇 姫路工業大学, 理学部, 教授 (30100150)
• Keywords: 原子間距離測定 / 回転エコー二重共鳴 / スピン-スピン緩和時間 / エンケファリン / 分子運動 / 結晶多形 / 固体高分解能MNR

Research Abstract

本年度は原子間距離測定法として回転エコー二重共鳴法を用いて原子環距離測定精度を向上するための要因について検討した。この方法ではエコー信号を観測するため、スピン-スピン緩和時間の性質を知ることが重要な要因になる。そこで、試料にオピオイドペプチドであるエンケファリンを用いて、炭素原子のスピン-スピン緩和時間を測定した。この結果、スピンスピン緩和時間はデカップリングラジオ波の強度に強く依存することが分かった。距離測定の精度を向上するためにはスピン-スピン緩和時間を長くすることが有利であるので、少なくとも60kHz以上のラジオ波を照射する必要のあることが判明した。このため、固体高分解能NMR分光器の高周波アンプを強化して、より強いラジオ波の照射が可能装置に改良した。次に距離測定の精度に敏感である分子運動の影響についてエンケファリン分子を用いて検討した。この結果、エンケファリン分子は多くの結果多形を示し、結晶状態でもメチル基やフェニル基に加えて、主鎖部分も小さい振幅ながら高周波の運動成分をもつことが判明した。しかしながら、その振幅は小さいので、原子間距離の精度を大きく損なうことはないことが分かった。このように改良した装置を用いてエンケファリン結晶の同位体標識13C-15N原子間距離を測定した。さらに、この距離情報のみからエンケファリン分子の三次元構造を決定した。こうして得られたエンケファリン分子の三次元構造についてエネルギー極小化を行ったところ、エネルギー的にも安定な構造でることが分かった。以上の研究により主体分子の三次元構造解析の基礎が確立した。

Research Products

• [Publications] A.M.Gil: "A 13C-NMR study on the conformational and dynamical properties of a cereal seed strage protein,C-hordein,and its model peptides" Biopolymers. 41. 289-300 (1997)
• [Publications] S.Nakatsuji: "Preparation and properties of 2-(o-halophenyl)-a-nitronyl nitroxides" Mol.Cryst.Liq.Cryst.306. 279-284 (1997)
• [Publications] S.Yamaguchi: "Stability of the C-terminal a-helical domain of bacteriorhodopsin that protrudes from membrane surface. as studied bv high-resolution solid-state 13C NMR" J.Biochem.123. 78-86 (1998)
• [Publications] H.Saito: "Conformation and dynamics of membrane proteins and biologically active peptides as strudied by high-resolution solid-state 13C NMR" J.Mol.Stuct.441. 137-148 (1998)
• [Publications] A.Naito: "Backbone dynamics of polycrystaline peptides studied by measurements of 15N NMR lineshapes and 13C transverse relaxation times" J.Mol.Struct.441. 231-242 (1998)
• [Publications] M.Kamihira: "A high-resolution solid-state 13C and 15N NMR study on crystaline Leu-and Met enkephalins:Distinction of polymorphs,backbone dynamics and local conformation" J.Phys.Chem.101. (1998)
• [Publications] A.Natio: "Solid state NMR of polymers.ch 2.Dipolar interaction and interatomic distances" Elsevier,Amsterdam,The Netherland, 27 (1998)
• [Publications] H.Saito: "Annual Reports on NMR Spectroscopy,Vol36" Academic Rress,London,UK, 43 (1998)