1998 Fiscal Year Annual Research Report
精密原子間距離に基づく膜生体分子三次元構造解析システムの開発
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09558094
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
内藤 晶 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (80172245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤戸 輝昭 日本電子データム(株), AI技術部, 課長
相田 美砂子 広島大学, 理学部, 教授 (90175159)
辻 暁 姫路工業大学, 理学部, 助手 (60227387)
斉藤 肇 姫路工業大学, 理学部, 教授 (30100150)
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Keywords | 原子間距離測定 / 回転エコー二重共鳴法 / エンケファリン / 化学シフト値 / コンフォメーションマップ / リン脂質 / 二面体角 |
Research Abstract |
本年度は回転エコー二重共鳴法(REDOR)により得られた精密原子間距離測定値からオピオイドペプチドであるエンケファリン分子の立体構造決定を行った。全体の分子構造を効率よく決定するために6種類の^<13>C,^<15>N二重標識エンケファリンを固相法により合成し、エタノール水の混合溶媒から結晶を作成した。まず、これら6種類の結晶が同一の結晶であることを、^<13>C化学シフト値から確認した。次に原子間距離情報をペプチドの2面体角(Φ,Ψ)情報に変換するため、測定した原子間距離を反映するコンフォメーションマップを解析した。このコンフォメーションマップに化学シフト値から得られる二次構造の情報を組み合わせることで、一義的に2面体角を選択できることが判明した。こうして、6種類の二重標識試料についてそれぞれコンフォメーションマップと化学シフト値を順次検討することにより、エンケファリン分子の2面体角をすべて決定することができた。これらの2面体角情報から、固体NMRを用いて始めてエンケファリン分子の立体構造を決定する画期的な結果が得られた。エンケファリンは膜と結合することで構造を形成し、その後オピオイド受容体と結合することが知られている。この意味からエンケファリンの膜結合構造を決定することは重要である。そこで、膜中のエンケファリンの立体構造を決定するためにリン脂質とエンケファリンとの相互作用について検討した。エンケファリンはリン脂質二重膜とあまり強い相互作用は示さないが、リン脂質と界面活性剤の混合によって形成するバイセルとは相互作用を示すことが判明した。このバイセル膜に結合したエンケファリンの原子間距離測定に基づく立体構造決定を次の段階として行う計画である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Nakatsuji: "2-(2'Halophenyl)-α-nitonyl nitroxides" New J.Chem. 275-280 (1998)
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[Publications] K.Nishimura: "Determination of the three-demensional structure of crystalline Leu-enkephalin dihydrate based on six sets of accurately determined interatomic distances from ^<13>C-REDOR NMR" J.Phys.Chem.102. 7476-7483 (1998)
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[Publications] T.Iwasa: "^<19>F NMR and UV-VIS absorption spectroscopic studies of fluorinated octopus rhodopsin and its photoproducts" J.Phys.Chem.102. 5602-5610 (1998)
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[Publications] M.Tanio: "Evidence of local conformational fluctuations and changes in bacteriorhodopsin,dependent on lipid,detergents and trimeric structure,as studied by ^<13>C NMR" Biochem.Biophys.Acta. 1375. 84-92 (1998)
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[Publications] 斉藤 肇: "膜蛋白質構造の固体高分解能NMRによる解析" Membrane. 23. 162-168 (1998)